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絆を深める「カスタマー・エクスペリエンス」戦略

低予算の企画はサプライズの宝庫!「気味悪い」で人を動かす

西脇 淳(タイガー タイガー クリエイティブ)

コミュニケーション予算が限られる企画ほど、最小限のメディア出稿で最大限の効果をあげるための一味違ったアイデアが必要だ。関東ローカル向けの個性派事例が“違和感”をフックに人を動した方法とは?



(1)さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト「迷路百貨店」のテレビCM/子どもたちだけでなく、お父さんもおじいちゃんも迷子の一人として描くことで、家族3世代、皆で楽しめる施設だということを訴求した。

テレビCMに潤沢な予算を割くことができない商品・サービスである時。スモールバジェットで企画全体を組み立てなければならない時─そうしたケースで、「サプライズ」のある施策は特に有効に機能すると思います。

サプライズと言うと、奇をてらった、何か突拍子もないアイデアを考えなければならないように聞こえますが、僕が意識しているのは、そうした「びっくり!」と言うよりも、ちょっとした「違和感」のようなものを与えることで、ターゲットの心に引っかかりをつくるということです。

たとえば、富士急行グループのレジャー施設「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」の今夏の集客を目的としたコミュニケーションも、その発想で企画したもののひとつ(1)。もともといくつかあった迷路アトラクションをさらに拡充し、8施設13種類の迷路を備えた今夏のプレジャーフォレスト。この迷路施設の総称が、「迷路百貨店」でした。先方の社内で予め決まっていたこのネーミングですが、「迷路」と「百貨店」という距離感のある言葉の組み合わせに、まず他にない意外性があって素晴らしいと思いました。そこで関東ローカル向けのテレビCM、グラフィック、WEBといった一連のコミュニケーションでは、このネーミングをいかに膨らませて、アウトプットするかという方向性で考えていきました。

企画に際して現地に足を運んでみると、派手さはないけれど、逆に小さい子どものいる家族連れにとっては過ごしやすそうな遊園地という印象を受けました。東京在住の人に聞いてみても、「予算的にも距離的にも、家族で行くのにちょうどいい」という声が聞かれました。同じ富士急行グループでも、絶叫マシンを目玉にした若年層向けの富士急ハイランドとは性格が異なる、ファミリー向けの施設であるプレジャーフォレスト。家族連れが楽しめる施設であること、子どもを連れて行きやすい施設だということを理解してもらうことをコミュニケーションのゴールに据えました。

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