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絆を深める「カスタマー・エクスペリエンス」戦略

オムニチャネル対応の遅れによる、損失を「見える化」せよ

岩佐朱美 (日本アイ・ビー・エム スマーター・コマース営業部 部長)

リアル/デジタルのチャネルをシームレスにつなぎ、顧客とのコミュニケーションをトータルにマネジメントすることの重要性が認識されるようになって久しい。実現にあたり、多くの企業が抱える課題とは?そしてその解決のために、今すべきこととは?

「お客さま第一」という言葉は昔からあり、考え方自体は新規性のあるものではありません。しかし、この言葉が今あらためて注目されている背景には、Face to Faceではない販売チャネルが増え続け、なかでも顧客接点としてのWEBの重要度が高まっている状況があることは言うまでもないでしょう。リアル/デジタルと顧客接点が広がり続けるなかで、顧客がそこでの体験価値をどう受け取ったのか。その結果をすぐに知るのは難しいことです。しかし、それをリアルタイムに把握し、それに基づくアクションを即時に実施しなければ、致命的な損失を生むことが企業の間で認識されるようになってきました。近年、急速に進化を遂げているデータ解析技術・ツールの存在も、その意識の高まりを支えていると思います。

一言で「顧客」と言っても、その志向性はそれぞれ異なりますし、同じ人でも、今日と明日では欲しいものが異なる場合もあります。商品を購入して、その喜びを感じている時間というのは、特に女性ではそう長くは続きません。その短期間に、次なるアプローチができれば反応が得られるかもしれませんが、1カ月も経てば、熱も冷めて見向きもしてもらえません。「エクスペリエンスを大切にする」とは言うは易しですが、それだけわがままで、時・状況とともに変わりゆく顧客の志向に合わせた施策を打ち出すには、企業側も腰を据えて、インフラや技術を備えていかねばなりません。

さらに、ハードを備えればそれで終わりではなく、顧客の志向が「変わった」と理解できることが重要です。顧客がアクションをした後、3日のうちに何らかのケアをしない限り、反応は二度と返ってこないというスピード感のなかでアクションがとれるような、フットワークの軽い社内体制も必要になります。わがままで、企業に対して力を持ち始めている消費者たち。あらゆる顧客接点のなかで、Face to Faceではないチャネルが占める割合が今後も高まり続けていく状況下、それに対応するための環境整備において一歩前に出られるかどうか、具体的には「顧客」を「個客」として対応できるかで、その企業が支持される存在になれるかが決まってくると言えると思います。

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