テクノロジーに対する理解がブランドの差別化要素となってきている今、顧客から選ばれる存在であり続けるために、企業がとるべき戦略とは?
米BMWでは、2011年にベンチャー投資会社「BMW iベンチャーズ社」を設立した。
金融機関、航空会社、自動車メーカーに百貨店...。米国では非デジタル系の企業が社内に技術開発のラボを構えるなどし、デジタル領域における顧客接点でのブランドを高める取り組みに力を入れる動きが顕著になっている。
デジタル領域における消費者との接点が拡大していけばいくほど、そこでのユーザーエクスペリエンスがブランドに与える影響が高まる。そうした判断があっての投資と言える。先行事例としては、スターバックスが好例だろう。
プロモーションには大きく分けて認知を上げ購買につなげていく活動と、ブランドをつくり、高めていく活動の2つがある。後者は広告表現、店舗やパッケージデザイン、スタッフの対応などにより構成されてきたが、今はサイトやアプリも重要なブランド体験の場になっている。それゆえ、テクノロジーに対する理解がブランドの差別化要素となってきているのだ。
新アプリで売上120%増
今年6月に公開された全日空のアプリ。
ここでいうブランド体験とは、ブランドイメージを体現するデザインのトーン&マナーの話だけではない。ストレスを感じさせない、使う人の立場を考えたユーザーエクスペリエンスの提供が鍵になる。世界的に見ても、航空会社はアプリ開発に力を入れ、この考え方を実践している業界だ。
航空会社のブランド体験は、飛行機に乗っている間のサービスだけでなく、乗る前から始まっている。チケットの予約、発券、搭乗手続きなど、従来は人を介して提供されていた各種サービスが、デジタルに移行してくると、当然そこでの使い勝手の良さがブランド体験の質を左右する。スマートフォン利用者が増加する中で、特に各社がここ数年、アプリの開発に力を入れる流れがある。