カンミ堂の専任広報担当として、PR業務を担う庄司美香さん。最近では広報の枠を超え、社内のあらゆるツールにおける「言葉」「伝え方」に関わることが増えてきたという。
写真左は新製品のプレスリリース(全5枚の1枚目)、写真右は昨年8月に配信スタートした商品取扱店舗向けのFAXマガジン「カンミ堂だより」。紹介している商品は同じでも、対象・目的に応じて切り口・表現を変え、伝わりやすい内容を考える。
文具や事務用品、ノベルティの企画開発・製造・販売を手掛けるカンミ堂。同社の広報業務を担うのが、入社2年目の庄司美香さんだ。幼少の頃から「言葉」で表現することに強い関心を持ち、小説の創作や、さまざまな文章を読んでは自分なりの表現を考えることが好きだった。6歳から16年ほど書道を習い、「書く」ことの造形的な美も追求。大学では文芸コースを専攻した。長年、書くことが生活の中心にあった庄司さんだが、執筆業だけでなく広報・PRという仕事への興味も持っていたという。「中学生の頃、好きなアーティストが、メディアへの露出が少ないため世間に認知されず、それが正しく評価されることをも阻む現実があると知りました。良いものを作っても知られないのでは、もったいない。その思いが、もともと好きだった書くことと結びついて、広報への興味が湧いたんです」(庄司さん)。
社長への直談判で広報専任に
企業理念や商品の魅力に惹かれてカンミ堂に入社。初期配属は営業だったが、1年目の秋から広報の専任担当に。「『より良い表現で商品や会社を伝えたい』という思いが一番にありました。1年目の夏頃から営業と広報業務を兼任するようになりましたが、取り組むほどに広報の重要性を実感。また、広報業務に集中することで貢献できることが増えると感じ、代表とも話をした末、専任となりました」。
とは言え、当時の庄司さんには広報の専門知識もスキルもなく、何もかも手探りの状態でスタートしたという。初めてのプレスリリースは、昨年11月頃から開発会議にも出席し、商品への理解を深めながら少しずつ書き始めた。今年2月の完成までに、作成したファイル数は150にのぼった。「少しでも変更したら上書きせず、新しいファイルとして保存します。その時はダメだと思った文章が、何日か後の自分にとっては『良い』と思える可能性もありますから」。
初めてのリリース作成と同時期に、企業サイトのリニューアルにも関わった。デザインを検討する段階から参加し、社内デザイナーとの議論を重ね、作り上げていった。「リリースやサイトなど成果物が出ていくことで、社内での信頼も少しずつ得られていると感じられるように。この頃から広報としても、積極的に意見を言えるようになりました」。