広告マーケティングの専門メディア

           

アメリカ雑誌レポート

米国で売上拡大中の「ブッカジン」って何?

ヴィック・タゲット

新たな広告商品の企画開発にデジタル化への対応...。常に世界の出版界の動きを牽引してきた、米国の雑誌業界の動向を現地からレポートする。

136_02.jpg

『ピープル』の6月末の店頭売上は83万部で、エンタテインメント・セレブ分野のトップになった。有料部数の合計は360万に達し、2位の『U Sウィークリー』の2倍だ。大半の雑誌と同様、同誌も店頭販売が芳しくない。しかし、定期購読者の数は絶えず増えており、店頭での売上低下を補っている。最近、1年間の定期購読料を一部につき1.86ドル、それに郵送料や手数料の23セントをプラスした価格で提供している。今後、定期購読はより高い料金設定になるのだろうか。

米国では雑誌の店頭販売における売上低下が著しく、5年前の約6割規模にまで落ち込んでいる。現在、米国の雑誌市場では店頭販売による収入は部数収入の10%を占めるが、今後、徐々に少なくなりそうだ。さらに悪いことは、この減少傾向が今後も続いていくであろうということだ。

縮小される雑誌販売スペース

『ピープル』は「スタイルウォッチ」「ビューティウォッチ」「スクープ」「スタートラックス」などのセクションで、ロイヤルな読者を引き付けている。確かに店頭での売上は落ち込んでいるが、全体の部数は2007年の時点の97%を維持している。雑誌業界を襲った危機の前の部数は370万部で、そのうち店頭での売上は140万部だった。店頭売りは83万部に減少したが、定期購読の売上が増加したため、全体の部数は360万部に落ち着いている。明らかに店頭で購入していた人々が定期購読に移り、割引価格での購入を喜んでいるようだ。

店頭販売が減少した要因としては、消費者が店頭で衝動買いをしなくなったことがあげられる。これまで雑誌はレジの近くに置かれ、レジに並ぶ買い物客の衝動買いを誘ってきた。

イギリス王室に誕生したロイヤルベビーを表紙にした『ピープル』は、店頭売りが22%も伸びたが、ロイヤルファミリーの結婚、出産や、セレブたちのゴシップを扱った号など、よほどの大ニュースがない限り、雑誌の表紙が買い物客の目にとまる機会は減ってきている。

売上が低調なため、小売店は雑誌を置くスペースを縮小せざるをえない状況に追い込まれている。雑誌売店の大半は、扱う雑誌の数や冊数を減らし始めている。そのため、雑誌の卸売業者は手数料を追加したり、出版社に費用を負担させるよう、契約内容を調整して、少しでも収入を増やそうとしてきた。

あと48%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

アメリカ雑誌レポート の記事一覧

米国で売上拡大中の「ブッカジン」って何?(この記事です)
米『ニューズウィーク』に3番目のオーナー現る
米雑誌読者調査、72%が「最も問題を抱えている雑誌はニュース週刊誌」と回答
『ハーパース・バザー』など月刊誌復調、上半期の広告量は900ページに増加
タイム社の売却交渉が決裂

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する