デジタルシフトが進むプリントメディア新聞・雑誌などのプリントメディアでは近年、デジタルシフトが進んでいる。電子版の発行のほか、新たなニュースメディアの登場により広告手法や媒体の選択肢も変化してきた。
Point1
新聞メディアの電子版が登場し、詳細な読者データに基づくターゲティング広告も可能となっている。
Point2
ソーシャルメディアの登場によりメディアは、マスメディア、ミドルメディア、パーソナルメディアと三層化した。拡散していくニュースの生態系ができあがりつつある。
Point3
ミドルメディアがパーソナルメディアの情報をマスメディアにつなげたことで、人々の口コミから生まれるニュースも注目を集めているが「ステルスマーケティング」には要注意。
進む電子版への取り組み
新聞により異なる提供形態
ニュースメディアは大きな変化の中にいる。一つは紙からパソコン、スマートフォンやタブレットといった電子端末の普及、もう一つは誰もが情報発信できるソーシャルメディアの登場による情報流通の広がりだ。これらの変化は読者がニュースに接する機会を多様化させている。
宣伝・広報担当者にとってパブリシティの対象として、広告を掲載する媒体としても重要な存在のニュースメディア。長く、紙(新聞、雑誌)と電波(テレビ、ラジオ)が中心だったが、「マスメディア崩壊」といった指摘がされるようになっている。
日本の新聞発行部数は2000年に5370万部だったが、2012年には4777万部に減少。新聞に投じられる広告費は1兆2474億円から6242億円と半分に落ち込んでおり、2009年にはインターネットに抜かれた(図1)。
このような状況はアメリカで先行しており、新聞の廃刊や休刊が相次ぐ一方で、インターネットの事業化に取り組んできた。「新聞はタイタニックのようだ」と発行人が発言したことがあるニューヨーク・タイムズは、電子版の有料会員を伸ばして黒字化した。ワシントン・ポストはアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスに新聞事業を売却し再建を図るなど、激変の中にある。
日本国内でも様々な取り組みを行っている。ほとんどの新聞社が、紙だけでなく、インターネット展開もしているが状況は一様ではなく温度差がある。1995年以降にWEBサイトで記事を配信するようになったが、多くの記事を更新してYahoo! などのポータルサイトなどに積極的に配信する社から、一日数本しか更新しない社もある。2000年代に入り、ブログや地域SNSといったソーシャルメディアの運営に乗り出した社もある。