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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

ブランド全体で売上1.5倍、美白の実感が信頼を生むロングセラー「雪肌精」

コーセー「雪肌精」

肌に優しい和漢植物成分を配合した化粧水「雪肌精」。日焼けしにくい肌質に整える美白効果でシリーズ商品も拡張し、2013年はブランド全体で前年比1.5倍を売り上げている。

雪肌精

瑠璃色の美しいボトルが目印

1985年に発売した「雪肌精」は「肌全体がみずみずしく、血行が良いことが、白さや透明感がある肌に導く」という和漢植物の力に着目したスキンケアブランドだ。当時社長だった小林禮次郎氏がネーミングを考案した。

80年代当時、基礎化粧品といえばクレンジングから洗顔、化粧水、乳液、クリームとシリーズで揃える使い方が主流の時代である。「1946年創業のコーセーは、化粧品メーカーのなかでは後発組。強い商品づくりが急務とされる中、他社のシリーズを愛用しているユーザーをブランドスイッチさせるような、瑠璃色の透明ボトルに白濁の中身が透けて見える美しい色合いが特徴的でした」と同社で販売企画を担当する立田益巳氏は説明する。

発売当時、美白化粧品というと白い容器が一般的だった。漢方からもインスピレーションを得てイメージできる瑠璃色の美しい容器は個性的で、ひときわ映える存在だったという。

発売の翌年にグローバル進出

1品でもいい。コーセーの商品力を実感してもらえる、突破口となる商品を─。そのような方針のもと開発されたのが、化粧水の前に使うことを提案する「プレ化粧水」としての「雪肌精」だった。プレ化粧水という位置づけから参入することで、他ブランドのユーザーのトライアルを促したのだ。

やがて80年代から90年代にかけて販路の8割を占めていた専門店から評判が広がり、化粧水として雪肌精を使用するユーザーが増加した。同時に乳液やクリームの発売を望む声が増え、2000年にはクリームを発売。その後、乳液や日やけ止め、洗顔料など商品を拡張していった。

時代とともに販路の中心はドラッグストアへ移行し、一時は価格競争に悩まされた時期もあったというが、「雪肌精」の名を冠した新たなラインアップで「美白のトータルブランド」として成長を続けている。

中でも今年新たに発売したBBクリームは目標の倍以上を売り上げるなど、雪肌精全体の売上も前年比1.5倍と好調を維持している。

パッケージも発売時から現在まで変わらない。雪の結晶を模した六角形の容器は“雪肌精ブルー”と呼ばれ、「雪肌精」の白い文字が映える。

その人気は国内に留まらない。国内化粧品メーカーの中で先陣を切り、86年に香港へ進出した。今では中国、台湾、東南アジア、米国など世界14の国・地域に展開し、来日した観光客の定番のお土産となるなど、グローバルで根強い支持を獲得している。

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