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広告業界トピックス

フジテレビがYouTubeと制作した「マルチエンディング」な映像作品

通信・IT(志村一隆)

「物語を作って参加しよう」(ニューヨーク地下鉄の広告:筆者撮影)

8月号に、ゲーミフィケーションを利用したコンテンツ制作についてちょっと書いた。

スマートフォンが拡がったおかげで、リアルタイムとロケーションを利用して情報を送ることができる。それをエンターテインメントに当てはめると、物語と仕掛け、2つのシナリオが大事になる。つまり、いい物語と、それを表現した映像作品やゲーム、それにイベントを有機的に繋げる仕掛け(スマートフォンがスクリーンとなる)、両方を考える必要がある。その仕掛けは、オーディエンスをのめりこませるリアルタイムなフィードバックが有効である。そんな話だった。

今回は、さらにゲームの要素を映像作品に取り込んだ事例を紹介したい。フジテレビがYouTubeとCS放送フジテレビTWOドラマ・アニメで放送している「セブンティーンキラー」という作品。ある女子高生が死体で見つかり、その犯人を探す物語である。

1本2分半の映像を3回見ると、映像終了後、選択画面が出てくる。3択での犯人探し。自分の推理が試される。自分が犯人と思う人物をクリックし、その映像を見る。すると、また映像選択の画面。その選択を続けると、自分の推理が当たっているか結末が出てくる。つまり、2回ほど、物語の分岐がある。作品全体では18個の映像が用意されている。

「セブンティーンキラー」
ある夏の日、17歳の女子高生が死んだ。現場にいたのは親友3人と、元カレ。犯人は誰か?フジテレビYouTubeチャンネルと、CSフジテレビTWO ドラマ・アニメが制作した初のマルチエンディングドラマ。CS版はYouTube版とは異なり、容疑者3人それぞれの物語として3話制作し放送した。

こうしたオーディエンスによって結末が違う作品を「マルチエンディング」と呼ぶ。すでに、ゲームではこうした形態を取る作品が増えている。いや、2バージョンの結末を用意する作品や、観客の反応で筋を変えていく実験演劇は昔からあった。これらは、オーディエンスに選択肢を与え、物語にひきこもうとする作り手の試みである。

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