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リアル店舗の10年後の姿――リアルはネットの補完になる?

京井良彦

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最近、アマゾンや楽天で買い物をする機会がますます増えています。かつては本やDVDなどが中心でしたが、今ではワインや食料品、掃除機などの家電、本棚などの家具まで、あらゆるものをPCかスマホの画面から購入するようになりました。

これ、どうやら僕だけの話ではないようです。総務省の発表によると、2013年上半期のネット通販は、2人以上世帯の利用額で半年平均約3万3000円とのことで、前年比を12%も上回る勢いで伸びているとのこと。消費低迷のなか、ネット上の消費は右肩上がりが続いている状況なのです。こんなふうに買い物の場がどんどんネットに移行していくと、「リアル店舗の価値って、何なのかなあ」と考えてしまいます。そういえば、「アマゾンは10年以内に世の中のリアル店舗をすべてなくす」なんてブログの記事が話題になったりもしましたね。

もちろん、家電量販店から、ファーストフード、スーパー、コンビニまで、今やどんな業種でもリアル店舗と自社サイトとの融合について、戦略的な取り組みをしています。ただ、その多くは「リアル店舗で商品を売る」ことを前提に、うまくネットで補完していこうという考えに基づいています。

しかし僕のような「できる限りネットで買い物しよう」なんて生活者がどんどん増えていくと、「ネットで商品を売ることを基本に、リアル店舗がそれを補完していく」という発想の転換も必要かもしれません。つまり、オフラインからオンラインへの誘導、「逆O to O」とでも言ったところでしょうか。たとえば、ショッピングセンターや百貨店などは、ショッピング時のワクワク感という体験提供にも大きな価値があるわけですが、それだけを切り出して「リアル店舗ではワクワク体験の提供に特化し、商品販売はネットに誘導してから」なんて考え方もあるでしょう。

事例として、韓国のホームプラスというスーパーが実施した「SubwayVirtual Store」という施策があります。地下鉄の広告スペースに食品から日用品までの写真をずらりと掲示し、QRコードで購入するとその商品が自宅に届くというものです。これは広告スペースを店舗に変えてしまったという点で一歩上をいくものですが、リアルの場からネット販売に誘導するという点では、この「逆OtoO」発想を実現していると言えるでしょう。

とにかく、販売という大きな機能をネットに任せてしまったあと、リアルの価値をどう考えるか。10年後、世の中のリアル店舗が消えてしまうことなく、これまでとはまったく違う発想のステキな場になっていればなと期待しています。

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きょうい・よしひこ/文・絵

電通 チーフ・コミュニケーションプランナー。銀行でのM&Aアドバイザーを経て、電通入社。グローバルや官公庁など多岐にわたるクライアントを担当し、現在はソーシャルメディアやデジタル領域を中心とするコミュニケーション・プランニングを手掛ける。著書に「ロングエンゲージメント」「つなげる広告」他がある。

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