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小売り店頭トレンド予報

年末商戦は消費増税を煽りすぎず、製品特性の丁寧な説明が「吉」

北村森(商品ジャーナリスト)

今回のテーマ:「冬支度」

日々変わっていく、店頭の売れ筋商品やトレンド。そんな中、店頭を取り巻く環境の機微からヒット予測ができれば、広告プロモーションのアイデアや手法も広がります。トレンドに敏感、かつ裏付けのとれた予測に定評のある商品ジャーナリスト 北村森さんが、3カ月先の店頭をテーマに基づき予報します。

アイスクリームや冷し中華...夏メニューを冬でも

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冬といえば"あたたかグッズ"な気もしますが、別の観点からも考えてみましょう。今年4月、東洋水産が「マルちゃん正麺 冷し中華」を発売しました。家庭用の冷し中華市場ではチルド麺が全盛のなか、即席麺でそこに乗り込んだわけです。ここには大きな意味があります。「夏だけでなく冬にも冷し中華を」です。即席麺なら保存がききますから。「冬に冷し中華なんて」と言う小売店の担当者もいるようですが、メーカーの思いはそんな旧常識を超越している、ということ。今やアイスクリームだって冬にも売れる時代です。

季節を超えて売る。商品の売り込み方として大事なポイントと思います。たとえば...靴の臭い消しなんてまさにそれ。女性にとっては、ブーツの中が蒸れるのがつらい時期ですからね。

消費増税を煽るより製品機能・特性の丁寧な説明が吉

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消費増税が予定通りに進むならば、この冬のボーナス商戦は、量販店にとって"駆け込み商戦"の重要な時期となります。とりわけ、ちょっと高い商品をどう売るかがカギですね。冬支度でいえば、省エネ型のエアコンなどが目玉になりそうです。

ただ、ですね。多くの消費者は、これまでの"駆け込み商戦"を経験して、すでに学んでいます。たとえばテレビ。エコポイント終了後に、テレビの値段はむしろ下がりましたね。エコポイント還元分を補って余りあるほどに。消費者は97年の増税前商戦に比べ、冷静な目で捉えていると考えられます。

したがって、冬の商戦では、「増税直前」と煽りすぎるよりも、商品の機能やメリットをしっかり前面に出すことこそ重要と、私は思います。

地方発、局所的効果、そして"昔ながら"3つのポイントに注目

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では、定番のあたたかグッズはどうでしょうか。昨季までの流れをおさらいすると、地方の中堅中小企業の健闘が、店頭でとても目立ちました。

布団のいらないこたつ「ステルス」(愛知県のメトロ電気工業)や、ウエットスーツの素材を用いた「やわらか湯たんぽ」(大分県のヘルメット潜水)などが、その一例ですね。いずれも、「えっ!」と思わず声を上げたくなるような、意外性に富んだ商品です。

夏のひんやりグッズと同様に、あたたかグッズも「部屋全体ではなく、身体に近いところで局所的に効かせる商品」が主流です。さらに、こたつや湯たんぽ、カイロなど、昔ながらの商品への注目が続いているのが特徴。

地方発商品×局所的商品×復権商品。この流れはこの冬も続くと思います。

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北村 森氏(きたむら・もり)

商品ジャーナリスト。「日経トレンディ」編集長、同誌発行人を務めたのち独立。本誌をはじめ8本の連載執筆、テレビ・ラジオ番組への出演など精力的に活動。最新刊は『途中下車』(河出書房新社)。

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