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生活者行動パターン分析

シニア層は「ミングルライフ」...生活動線から生活者を読み解く

辻中俊樹

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ビジネスシーンに足場を置く生活者の行動パターンはいたってシンプル。

年齢、性別問わず、全ての生活者には必ず「生活動線」がある。生活とは時間と空間が織りなす一つの線の上を、動いたり止まったり、時にしゃべったり、沈黙したりすることの連鎖...つまりは24時間×365日の暮らし方、活動の仕方の流れといえる。100人が100通りの「生活動線」を持っているように思えるが、分析していくと実はいくつかのパターンがあることが見えてきた。世代・時代・ライフステージなどによって構造化しうるパターンだ。このパターンが分かれば、「例外」も見えてくる。本連載では全6回にわたり、代表的な「生活動線」のパターンを解説していく。

マーケターなら誰しも、生活者の動向や価値観の全体を把握しておきたいという願望を抱くはず。とりわけ、マーケティングやコミュニケーションにたずさわる者にとって、ターゲットとしている生活者のインサイトの構築は、すべての活動の前提といっていい。どのような生活行動をとり、それぞれの場面でどんなことを考え、どんな道具やモノやサービスを受容しているのか...。その累積を知っておきたいということだ。

この生活者インサイトを整理するにあたっては、「生活動線」というモノサシ、つまり枠組を使うことが極めて有効である。具体的には一人の生活者が24時間、365日を通して、どのような生活行動をとり、そしてどのようなことを考え、生活心理がどのように動き累積されていったのかを捉えることである。

しかし、実際にはそんなことを正確に記録するのは不可能に近いので、できる限りの事実(FACT)に基づいてパターンをつくり上げていくことになる。

パターンとして捉える

「動線」という概念は、「買物動線」や「避難動線」という言葉からも類推できる様に、人々の動き方をパターンとして捉え対応することである。千差万別に見える生活者の心理や動きを「生活動線」という枠組みで整理し仮説を立てていくことに尽きる。そこで、まずは「生活動線」という視点で生活行動をいくつかの類型に分けてみることになる。たとえば私たちのようなビジネスシーンに大半の「生活動線」を支配されている生活者の行動パターンは意外にシンプルである。

仕事に行くという「朝」のシーン...。そこでは生活者は驚くほど単純な「生活動線」を繰り返していることになる。「都市の鼓動」という言葉がある様に、都市生活者は血流が集まるように周辺部から都市部へ集まっていく。血流の一滴一滴が私たち生活者だ。

毎日、ほぼ一定の時間帯に、決まった駅から決まった車両の、しかもほぼ同じ位置に場所をとることだろう。乗り換えの経路、通路、階段も同じに違いない。何らかの理由でこれが変わることがあっても、パターンのぶれと捉えることができる範囲であり、大幅な逸脱はそうは起こらない。

この類型から完全に逸脱するのは、たとえば失業であり、定年退職ということになる。これは異なる「生活動線」を持った生活者の類型に入ることを意味し、だからこそ解放感と喪失感の両方を持つわけで「生活動線」はそれほどパターンとして捉えることができるものなのである。

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