各業界参入で競争激化
「ビッグデータ」に関わるビジネスには、IT関連企業や情報システム関連企業、コンサルティング企業など、さまざまな業種が参入している。この競争が激しいビジネス領域に、広告会社が取り組むことの意義とは?広告会社だからこそ提供できる「ビジネス・インテリジェンスの構築」とは?
マーケティング×ビッグデータで新市場は拓けるか?
コミュニケーションビジネス系
大手総合広告会社は、マーケティング領域におけるビッグデータ活用支援を強化すべく、体制づくりを進めている。
博報堂は4月、マーケティング領域におけるビッグデータ利活用事業の提案力を強化することを目的に、日立製作所と協働で「マーケット・インテリジェンス・ラボ」を設立。独自の技術・ソリューションの開発や、ビッグデータ利活用を支援するサービスの提供を進めている。
電通は5月16日、ビッグデータを活用したマーケティング領域の事業で富士通との協業を発表した。富士通の持つCRM、販売管理、コンタクトセンターなどに関する業務ノウハウや大量データの活用に関する知見・技術力と、電通の持つ戦略立案ノウハウを組み合わせ、マーケティング活動の最適化や新たなビジネスの創出を支援する。
具体的に提供するのは、(1)マーケティング・デザイン、(2)事業開発プロデュース、(3)導入ワークショップという3つのコンサルティングサービス。(1)は、顧客企業が所有する業務データと、センサデータ、オープンデータなどの外部データを統合的に分析し、企業全体のマーケティングプロセスの革新につなげるプログラム。(2)は、ビッグデータを活用した新事業の開発を推進するプログラム。(3)は、マーケティング部門や情報システム部門など、クライアント企業内の複数部署を横断して実施するプログラムで、ビッグデータを最大限に活用できる体制を整備することを目的とする。
また電通は、カタリナ マーケティング ジャパン(カタリナ)と実購買データなどの顧客インサイトを活用して企業のマーケティング活動を刷新するマーケティング・スキームを開発し、同スキームを活用したソリューション・サービスで協業。7月16日に両社のクライアント向けに提供を開始した。
電通が保有する生活者の価値観データやメディア接触データと、カタリナが分析している実購買分析、そしてその分析をもとに展開する「パーソナライズドメディアプログラム」(国内の主要スーパーマーケットを中心とした約4500店舗のレジで、買い物客の購買特性に合わせて展開するカタリナ独自のメディア広告)を組み合わせ、精度の高いプロモーションとその効果測定を実現したい考えだ。
今後は、(1)個人の購買行動に基づいたマーケティング・コミュニケーション戦略の設計、(2)売上効果の高い広告・店頭販促活動の開発やO2O領域のプロモーションの実施、(3)購買起点の消費行動分析を活用した継続的かつ精度の高い効果検証という一連のサービスをワンストップで提供していく。