12カ国に輸出、今年からは海外事業も展開するため、ラベルの商品名はローマ字で書かれている。
口コミからメディア露出しヒット!
福岡県柳川市に本社を置く高橋商店は、地元有明海で獲れるたいらぎ貝の貝柱を粕漬けにした「有明漬」の開発を機に、1946年に創業した。現在は粕漬けのほか、九州産の珍味や香辛料などの製造販売も行っている。
その高橋商店が生んだヒット商品が「YUZUSCO(ゆずすこ)」だ。「ゆずすこ」は、香り高い宮崎県産の柚子の皮と、ピリリとした辛さが楽しめる青唐辛子から作られた「柚子胡椒」に、穀物酢を合わせた液体柚子胡椒である。柚子の香りとコショウの辛味、酢の酸味のバランスが絶妙で、ピザやパスタをはじめ、鍋料理やカルパッチョなどさまざまな料理に合うと評判だ。
「一切、広告はしていませんでした」と話すのは、代表取締役社長の高橋努武氏。「約3年前、地元テレビ番組や新聞を中心に、多くのメディアに露出が増えて売上が驚異的に伸びました」。発売当初、同社では取引先に3本ずつサンプルを渡していた。ポイントは"3本"という点。「もらった人がほかの誰かに渡せるよう、3本にしました」と高橋氏。そのうちネット上で話題となり、面白い商品を集めるサイトで紹介されるまでになる。
口コミが広がったのは、それだけの商品力が、ゆずすこに備わっていたからだろう。しかし、高橋商店は商品開発部という専門部門を設けていない。商品開発は、各部署の代表者と営業の担当者全員が参加する会議で決めるという。営業が全員参加するのは、顧客の声を知っているからで、その声を参考に商品を改良する。「改良点が付加価値となり、新商品が生まれます」。
ゆずすこが誕生したのも「柚子胡椒は使い勝手が悪い」という声が数件寄せられたことが発端だ。九州で調味料として親しまれている柚子胡椒はペースト状なため、そのたびにスプーンや箸ですくって使わねばならないうえ、料理にもなじみにくい。これらの悩みを解消するために、液体化するという発想が生まれたのだ。
高橋氏が販売戦略として重視しているのが、希少性と話題性だ。