広告のメッセージを深掘りすると見えてくる社会の問題 「歴史」というオブラートで包み、新たな視点を読者に与える
『童の神』『八本目の槍』や直木賞受賞作品『塞王の楯』などの作品で人気の歴史小説家、今村翔吾さん。2021年から書店経営も行い、2024年4月には、シェア型書店「ほんまる」もオープンした。「広告はネタの宝庫」として着想を得ることもあると言い、自らも広告を手掛けてみたいと話す今村さんに、広告のクリエイティブに期待することについて聞いた。
私の広告観
フリーライターからキャリアをスタートし、ファッション誌の副編集長・編集長を歴任、現在はファッションを軸にしながら、活動の場を広げ続ける生駒芳子さん。その、"未来を見通す目"に迫った。
いこま・よしこ
東京外国語大学フランス語科卒業。フリーランス・ライターとして活躍後、『VOGUE』、『ELLE』を経て、2004年に『marie claire』編集長に就任。社会問題を取り込んだファッション誌を日本で初めて立ち上げ、2008年に独立。ファッション、アートからエコ、社会貢献、ライフスタイル、女性の生き方、クール・ジャパンプロジェクトまで幅広い視野でトピックを追求し、新しいメッセージを発信するジャーナリスト、プロデューサーとして活躍中。公益財団法人三宅一生デザイン文化財団理事、NPO法人サービスグラント理事、クール・ジャパン審議会の委員、JFWコミッティーメンバーを務める。
ファッションとアートが好き。ライターとして10年近くのキャリアを積むことになったのは、その世界に飛び込むために、私にとって最適な方法を選んだ結果でした。私の「書くこと」の原点は、日記。もともと作文が大嫌いだったのですが、小学校6年生の冬休みに日記の宿題が出て、それを書いた途端、胸のつかえがとれたような快感があったんです。以来、日記を書くことが習慣に。自分が感じたことや、不思議に思ったことを表現して、人に伝えたいという欲求を日記が満たしてくれたのだと思います。
フォトジャーナリズムに興味があったことから、大学卒業後は旅行雑誌の編集者として2年間働きました。その仕事を辞めてフリーになり、ファッション誌のライターとして活動するように。ファッションに関する知識は独学で身に付けました。たとえばシャネルの記事を書く時はシャネルの本を読破し、ファッションの歴史に関する本も読み漁り、自費でパリコレクションやミラノコレクションを見に行ったことも。そうしてファッションの世界にどっぷり浸かることになります。
その後、『VOGUE』『ELLE』では副編集長、『marie claire』では編集長を務めますが、初めから編集長になりたいと思っていたわけではありませんでした。出版社に入ったのは、ひとえに自分が考えた企画を実現させたかったから。いい企画と思っていても、編集部に相手にされないことも多く、ライター業に限界を感じ、「こうなったらファッション誌の中に入るしかない!」と思ったんです。