顧客の声で販売再開 初期の終売を乗り越えて歩んだ30周年の歴史
2024年9月、発売30周年を迎えた有楽製菓の「ブラックサンダー」。多くの人に愛される「ブラックサンダー」が開発された背景には、1994年当時に主力商品だった「チョコナッツスリー」の存在があった。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
「♪赤いきつねと緑のたぬき」のサウンドロゴを誰もが思い浮かべるカップ麺業界の代表格である東洋水産「マルちゃん赤いきつねうどん」。誕生以来、35年に渡り幅広い世代に愛されるロングセラー商品だ。
赤いきつねの前身は、業界初のカップ入り即席きつねうどんとして人気を博した「カップうどんきつね」という商品。1975年に、関東は丼型容器で、関西は縦型容器で発売した。当時、和風カップ麺はほとんど見られなかったこともあって大ヒット商品となり、カップうどんきつねは和風カップ麺ブームの火付け役となる。同年、緑のたぬきの前身、きざみ天ぷらを入れた「カップ天ぷらそば」も発売。
77年には容器を丼型に統一して、「きつねうどん」「天ぷらそば」としてリニューアルする。具材のお揚げは、最初はきざんだ油揚げ2枚だったが、76年に三角形の油揚げ1枚に、77年のリニューアルでは正方形にまで大きくして、「お揚げのあつみが違います」というキャッチコピーで展開した。だが、競合商品との競争が激化したことにより、パッケージデザインとネーミングを見直し、新ブランドを開発することになった。
ネーミングは熱々のおいしさが伝わるように「熱いきつねうどん」を予定していたが、店頭で目立つという理由でパッケージは赤を基調色としたデザインが採用された。きつねは稲荷神社の神使、稲荷神社のシンボルカラーは赤、という具合にイメージの連動性があることや、当時人気絶頂にあったアイドル歌手の山口百恵さん主演のドラマ「赤いシリーズ」が話題を集めていたという背景も決め手のひとつとなった。その結果、ネーミングもユニークでインパクトがあるものにということになり、78年に「赤いきつねうどん」が誕生したのである。
テレビCMには武田鉄矢さんを35年間起用し続けている。当時武田さんはフォークシンガーだったが、山田洋次監督の映画『幸福の黄色いハンカチ』での好演が高い評価を得て、俳優としての新境地を開いたばかりだった。