新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。
メインビジュアルはもちろん
一目で内容を把握できる工夫で
メディアの興味をひきつける
今回紹介するのは「ゴリラのひとつかみ」という、ユニークな名称の商品のリリースです。
配信したのは生活関連用品の企画・開発・販売を手がけるドウシシャ。名前だけ聞くと一体何の商品かと思いますが、主に女性が使うふくらはぎケアの健康家電なのです。
同社の家電の主力製品は扇風機や加湿器などの季節家電で、健康家電にはそれほど力を入れていなかったと広報を務める第2事業営業企画グループマネージャーの青木響さんは説明します。
この商品を企画したのは、当時入社2年目の水島英恵さん。立ちっ放しで作業したときにふくらはぎがむくんで困るという女性は多いものの、水島さんが周囲に聞くと、ケア商品を使ったことのない人がほとんどだったそうです。その理由は価格の高さで、他社の既存商品は1~2万円したそうです。
そこで工夫したのが、ケアするエリアをふくらはぎだけにすること。コンパクトで軽くなり、旅行などに持参できるメリットもありました。さらに画期的だったのが、左右セットではなく単品で販売したことです。「片足ずつケアすれば1台で足りる」というコロンブスの卵的発想でした。これによって価格は5000円台となり、大きく差別化を図ることができたのです。
ユニークな商品名も水島さんが考案。実はサンプル制作時に着用したところ非常に痛かったそうですが、その方が後で爽快感があるとわかり、強さは変えずに開発することにしました。
小中学生でもわかる言葉を選ぶ
ハイパワーを象徴するネーミングを考えていたときに参考にしたのが、あるアナウンサーの「小中学生でもわかる言葉だと伝わりやすい」という言葉。そこで浮かんだのがゴリラだったといいます。…