新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。
近頃BtoB企業の広報が熱い!
基本を押さえた機能的な構成で
多くのメディア掲載を獲得
近年、街の書店が次々と閉店に追い込まれる一方、「独立系」と呼ばれる個性的な書店が生まれていることを、ご存知でしょうか。
書籍は基本的に出版社から取次を通して書店に卸されており、取次の最大手のひとつがトーハンです。今回リリースを紹介するのは、取次との取引におけるハードルを簡便にし、小規模でも書店を新規開業しやすくした書店開業パッケージ「HONYAL」です。
同社には、書店が減っていく現状を改善するための「Book Boost Lab.」という社内プロジェクトがあります。2022年にトーハンと取引を始めた独立系書店の経営者でコピーライターでもある渡辺潤平さんの協力のもと、もっと書店と取引しやすくなるために提案・実現したのがHONYALです。
70年以上も大きな変化がなかった流通形式に新たな選択肢を増やす大胆な施策といえます。およそ2年の検討期間を経て、2024年10月17日にサービスを開始しました。
リリースによると、1990年代には全国に2万数千店あったとされる書店が2024年には1万1000店を割るまでに減少。本が読まれなくなったことに加え、ネット書店の台頭が主な原因です。書店がない市区町村は27.9%という数字からも深刻さがわかります。
そんな中、独立系書店はコロナ禍以降に開業が目立ち、現在約340店まで増加。ユニークな品揃えや店づくりで独自色を打ち出し、地域外からもファンを呼び込むことに成功しています。経営者は、勤務先の書店が廃業してしまった元書店員や元出版社社員、本屋さんになることが夢だった主婦などさまざまなパターンがあり、潜在的なニーズの高さがわかります。
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