2025年、団塊世代が全員75歳以上となり介護リスクが高まる中、メディア・従業員から関心が集まるのが「仕事と介護」の両立。仕事をしながら介護に従事することによるパフォーマンス低下も懸念されている。広報はこの課題にどう向き合っていくべきか。
企業事例
日立ソリューションズ
ビジネスケアラーが安心して働ける職場づくり、
両立に向けリテラシー高め「初動」を間違えないための発信を
2024年12月、日立ソリューションズのオフィスでは、あるイベントが開かれていた。テーマは仕事と介護の両立。ビジネスケアラー(働きながら介護をする人)と共に働くことを考える内容で、会場・オンラインあわせて約500人のグループ社員がリアルタイムで視聴していた。
専門家の講演に加え、パネルディスカッションでは、ビジネスケアラーの社員や役員、ビジネスケアラーの部下を持つ上司が登壇。「会議で介護について報告したところ、自分も同じだという人が続々と出てきて話が盛り上がった。機会をつくればいろんな話が出てくることが分かり、風土の醸成やナレッジ共有の大切さを感じた」「部下から介護について相談を受けたとき、何を言ったらいいか分からずリテラシーの大事さを痛感した」などと思いを語り、その様子はメディアでも報道されている。
同社ではイベント実施を報告するプレスリリースを発信し、「2025年問題が取りざたされる中、ビジネスケアラー増加による生産性の低下は多くの企業の課題」として、取り組みの背景についても記述した。

2024年12月に開催した「仕事と介護の両立」を考えるイベントの様子。専門家による講演会と、社員によるパネルディスカッションを実施。このイベントは、2023年11月に続き2回目の開催となった。初回は日立ソリューションズの社員のみの参加だったが、2回目はグループ社員も参加している。
きっかけは社員のアイデア
日立ソリューションズが、「介護をオープンに相談しあえる企業文化の醸成」や「安心して働き続けられる職場づくり」をめざし、仕事と介護の両立に関するリテラシーを向上するための活動を始めたのは2023年度のこと。きっかけは2022年度に実施した全社員参加型のアイデアソンだった。企業活動のアイデアを募集し社員投票等を経て選ばれた最優秀チームは「仕事と介護の...