インドの国際PRイベントから見えてきた最新動向を紐解き、日本の広報担当者が活用できる知見と実践手法を解説します。
連載第3回目は、インド国内で唯一の広報・PRを専門とした大学院であるSCoRe(School of Communications & Reputation)が実施した事例を紹介します。インド全土におけるPRパーソンを増やすことを目的とした、インドのZ世代に対するキャンペーン事例です。
SCoReによれば、インドのPR業界は急成長しているにもかかわらず、PRを積極的に希望する新卒者はかなり不足しています。インドのトップPR会社5社を合わせると年間300人から500人ほどの新入社員を募集しているものの、採用枠は埋まらず空きが目立つとのこと。特にZ世代(1990年代半ばから2000年代に生まれた世代)の最初の2年間での離職率は25%(SCoRe調べ)に及びます。その主な理由は、PRの現場と理想との乖離が大きな要因とのことです。
インドPR業界の状況を改善するため、SCoReはこの問題に正面から取り組み、PRをインドのZ世代新卒者にとって憧れの職業の選択肢にすることを目指す、#PRforPRキャンペーンを2022年から2023年にかけて展開しました。
組織の強みを活かした調査と洞察
SCoReはまず、学術界と産業界との交差点に位置する自らの強みを活かして調査を実施。SCoReであればこそ手に入れることができる、学生コミュニティや雇用データの精査を通じて、地理、所属組織、学部の科目構成、人口学的特徴などをふまえた結果を導き出しました。…