日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

危機管理広報 失われた信頼を取り戻す

「合理的配慮の提供」義務化 再点検しておきたい顧客対応、対話のあり方

宇於崎裕美(エンカツ社)

障害者差別解消法の一部が改正され、4月から事業者の合理的配慮の提供が義務化された。組織や現場における個別の判断が求められるなかで、広報担当者は組織に対してどのような働きかけができるのか。

2024年4月1日から事業者による、障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました。これによって、適切な対応ができているかと不安を感じている企業も多いのではないでしょうか。

合理的配慮とは、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応をしてほしいとの意思が伝えられた時、負担が重すぎない範囲で対応すること。事業者と障害のある人が対話し解決策を探っていくことが重要とされています。

誰もが気兼ねなく従業員に声をかけ、企業のサービスを利用しやすい環境が整うようになれば、企業に対する理解は広まり、ファンの増加につながる可能性もあるでしょう。それは、いざというときのリスクマネジメントにもなります(万一クライシスが起きた時、理解者は企業を応援してくれる存在にもなるのです。この点については後述のコラムを参照ください)。

意思表明があった際の対処法

合理的配慮の提供について、どこまでが提供可能な範囲なのかは組織ごと、あるいは現場の状況ごとに異なるでしょう。判断に迷うのはのは、いつ、どのような場合に要求を受け入れ、どのような場合は断るのかです。現場の混乱を防ぐには、明確な基準を組織側のトップが示すことが重要です。

また、断ると判断した場合の伝え方についても悩むことがあるでしょう。伝え方によって、受け手側の感じ方や企業に対する印象はまったくちがいます。…

あと80%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

危機管理広報 失われた信頼を取り戻す の記事一覧

「不祥事ランキング2024」発表
小林製薬の紅麹サプリ健康被害、注意喚起に遅れ 早期に意思決定できる組織との違いは?
『セクシー田中さん』問題が残した教訓とは? ネット上の議論に対する広報の対応
なぜ起きた?どう防ぐ? 2024年の広告炎上から学ぶ教訓
地方の工場で爆発事故が発生…「記者会見」に向けた5ステップ
リスクマネジメントとしてのカスハラ対策 ─効果的なカスハラ対応ポリシーの発信に向けて─
「合理的配慮の提供」義務化 再点検しておきたい顧客対応、対話のあり方(この記事です)
動き出したステマ規制 措置命令から学ぶクチコミ危機管理
KADOKAWA情報漏洩問題で振り返る サイバー攻撃を受けた時の公表の判断軸
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する