障害者差別解消法の一部が改正され、4月から事業者の合理的配慮の提供が義務化された。組織や現場における個別の判断が求められるなかで、広報担当者は組織に対してどのような働きかけができるのか。
2024年4月1日から事業者による、障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました。これによって、適切な対応ができているかと不安を感じている企業も多いのではないでしょうか。
合理的配慮とは、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応をしてほしいとの意思が伝えられた時、負担が重すぎない範囲で対応すること。事業者と障害のある人が対話し解決策を探っていくことが重要とされています。
誰もが気兼ねなく従業員に声をかけ、企業のサービスを利用しやすい環境が整うようになれば、企業に対する理解は広まり、ファンの増加につながる可能性もあるでしょう。それは、いざというときのリスクマネジメントにもなります(万一クライシスが起きた時、理解者は企業を応援してくれる存在にもなるのです。この点については後述のコラムを参照ください)。
意思表明があった際の対処法
合理的配慮の提供について、どこまでが提供可能な範囲なのかは組織ごと、あるいは現場の状況ごとに異なるでしょう。判断に迷うのはのは、いつ、どのような場合に要求を受け入れ、どのような場合は断るのかです。現場の混乱を防ぐには、明確な基準を組織側のトップが示すことが重要です。
また、断ると判断した場合の伝え方についても悩むことがあるでしょう。伝え方によって、受け手側の感じ方や企業に対する印象はまったくちがいます。…