全国紙の体制が変化しつつある中、地方では通信社を重視した広報戦略を考える時期に来ているのではないか――。記者の行動原理をもとに、今後、報道のあり方や広報活動がどのように変化していく可能性があるのかを解説する。通信社の役割や新聞社に与える影響についても見ていく。
全国紙の間で「紙離れ」が本格化してきた。朝日新聞は10月から静岡県、山口県、福岡県で夕刊の発行を取りやめた。日本経済新聞も静岡県で夕刊の発行を11月からやめるという。毎日新聞と産経新聞は、すでに富山県で紙の新聞自体の配送や発行をやめている。
各社とも、原料費や配送料の高騰、人手不足を撤退の理由に挙げる。それらが「最後のひと押し」になったことは事実だろう。しかし、そもそも部数が減少するなかで、全国に取材網を張り巡らせる体制の維持自体が困難になっているというのが実情だろう。夕刊廃止や県単位での撤退はこれで終わりではなく、一気に加速するはずだ。
広報活動への影響は?
この傾向は、広報にとって何を意味するのだろう。全国紙の社会的影響力が低下することは間違いない。ただし、撤退した地域で全く読まれなくなるかといえばそうでもない。中止するのは「紙の新聞の提供」であって、電子版サービスは残るからだ。新聞社からすれば、電子版への移行が一定程度進んだからこそ撤退を決断できたという面もある。...
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