ビジネス環境は急速に変化しており、BtoB企業にもクライアントとなる企業だけではなく、社会や株主、一般生活者といった多様なステークホルダーに自社の考えや姿勢を示す広報戦略が求められている。発信におけるポイントや潮流を解説。
Q1: なぜいま、BtoB企業は広報活動を強化すべきなのか?
外部環境の変化が激しい時代、各ステークホルダーとの信頼構築がますます重要になっている。
昨今、BtoB、BtoC企業共に、企業を取り巻く環境の変化が目覚ましいと感じている広報パーソンも多くいらっしゃるのではないでしょうか。人口減少・少子高齢化の影響で労働市場は完全に売り手市場になり、テクノロジーの加速的な進化等に伴い市場競争はますます激化するなど、少なからずどの企業も何らかの影響を受けていると思います。
そのような予測不可能な外部環境の変化が激しい時代に、広報パーソンは外へのアンテナを張りつつ自社の企業課題をタイムリーに把握して柔軟に広報活動を軌道修正していくことが求められます。
特にBtoBでこれまで広報活動を体系立てて実行してこなかった企業は、今こそ力を入れるべきです。企業課題解決の追い風になるだけではなく、企業ブランド価値向上に役立つことが期待できるからです。
広報活動は長期的視点で社会や様々なステークホルダーと信頼構築する業務ですが、昨今、その信頼構築が企業にとってますます重要になっています。
コロナ下に発表されたあるデータに着目してみましょう。2021年にグローバルカンパニーのエデルマンが発表した日本を含む世界の消費者への信頼度調査によると、購入・利用するブランドを決定する際、「信頼できるから選ぶ」と回答した人が大幅に増えたという結果がありました。同時に信頼がブランドの成長を促すというデータも発表されており、信頼しているブランドに対して過半数の消費者が他人に勧めたり、SNSで紹介したり、他の選択肢より安くなくても買ったりという行動を起こします。これだけみるとBtoC企業への影響に思われるかもしれませんが、これはBtoB企業にもかかわることです。
信頼が及ぼす採用活動への影響
広報活動を通じて信頼構築をしていない、認知度が低い会社は、新卒採用はもちろん、中途採用にも苦労します。信頼を得るための広報活動は、ステークホルダーに共感と理解を得るために、自社のパーパス(存在意義)や経営理念から逆算した事業推進の過程を戦略的なコミュニケーションプロセスを通じて発信・対話していくことが重要です。このようなプロセスをつくると、求職者にも好影響を及ぼす可能性があります。
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