配送の際の温室効果ガス排出量削減や「2024年問題」といった働き方に対する課題など、サステナビリティの領域において様々な取り組みが求められ、推進している物流業界。ヤマト運輸のサステナビリティ活動とそれに伴う広報発信について聞いた。
「ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。」をグループの企業理念として掲げ、顧客や社会の要望や期待に向き合い、価値あるサービスを提供することで成長を続けてきたヤマト運輸。サステナビリティ推進部長の秋山佳子氏は同社の取り組みについて、次のように語る。
「持続可能な社会の実現は、私たちヤマトグループにとっても大きな挑戦です。国際情勢の不安定化に伴うグローバルサプライチェーンの混乱と物価高騰の影響など、厳しい状況においても気候変動や人権問題に正面から向き合い、対応する必要があります。多様なお客さまや多くのパートナー、ステークホルダーと共に事業を営む当社にとって、サステナブル経営は大きな責務と考えています。物流を通じて持続可能な社会を支える『豊かな社会の実現』。私たちのサステナビリティ活動の根幹にも、この企業理念があります」。
そんな同社が環境や社会に関する対応すべき重要課題を特定したのは、2020年に同社の経営における基盤となるグランドデザイン「YAMATO NEXT 100」を定めたタイミングだった。その際、“環境”と“社会”の各領域においてビジョンを策定。環境面では「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、社会領域では「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」を掲げ、それらをもとに具体的なサステナビリティ施策に取り組んでいる。
2021年に掲げた3カ年計画「サステナブル中期計画2023」では、重点項目(マテリアリティ)として「環境」領域で4つ、「社会」領域で6つの重点項目から、具体的な目標や施策を掲げて取り組みを実施。2022年5月には、2050年自社の温室効果ガス排出量実質ゼロに向け、2030年中期目標として2020年度比48%削減を掲げ、具体化した。主要削減施策として、2030年までにEV(電気自動車)2万3500台の導入、太陽光発電設備810基の導入、ドライアイスの使用量ゼロの運用・構築、…