新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。
出版社ならではのテクニックで
個性と存在感をアピール!
埋没せずに成果につながる
宝島社は8年ほど前にも紹介しましたが、独自テクニックで埋没しないリリースを配信しているので、最近の2点を取り上げたいと思います。
1点目は『幸せになる!50歳からの仕事の辞め方、変え方、始め方』というムック本のリリース。このムックは「放送作家を2024年3月末に引退する」と宣言して注目を集めた鈴木おさむさんを含め、50歳前後で新たな生き方を始めた10人をクローズアップ。さまざまな職種・経歴の人を取材しており、人生後半戦の参考になる1冊です。
出版の約1カ月前に書籍のゲラが上がると同時に、広報課の緒方未来さんが編集者からプッシュするポイントをヒアリング。人気放送作家の鈴木さんと、専業主婦から39歳で就職し、52歳でドムドムフードサービス代表取締役に就任した藤﨑忍さんを取り上げることにしました。
配信先別にタイトルを書き分け
完成した第一稿は広報課長の山﨑あゆみさんがチェック。「このリリースに関して修正はほとんどありませんでしたが、普段から気にかけているのはタイトル。同じリリースでも経済媒体向けなら、そこに響くワードを選んだり、フォントが選べないニュース配信サイト用ならよりシンプルにしたりと、配信先によってもタイトルを書き分けます。そのままウェブニュースに使えるような文言も意識しています。普段から広報メンバーには気になるウェブニュースがあったら、なぜ気になるのかを考えるように伝えています」。
さらに、高齢化はメディアが折に触れて取り上げる社会問題なので、書籍にはない「人生100年時代」という言葉を追加しました。編集部にも相談しながらブラッシュアップを重ねて配信に至ります。…