南海トラフ巨大地震への関心が高まる中、有事の広報体制を見直しておきたい。本稿では、訪日外国人向けの情報発信に着目。スピーディーな情報発信を実現するための手法とそのポイントを解説する。
気象庁は8月8日、宮崎県沖で発生した地震を受けて初めて南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」を出した。「7日以内に巨大地震が発生する確率は数百回に一度」などと報じられたこともあり、8月14日現在、大きな混乱は起きていない。しかし、一段階上の「警戒」が出れば社会全体に影響が及ぶことは必至で、対応を再検討している企業も多いはずだ。今回の事態を受けて浮かび上がった広報上のポイントをまとめてみたい。
外国人向け発信に課題
今回、新たに課題となったのは訪日外国人向けの情報発信ではないだろうか。もちろん、これまでこの問題に注意が払われてこなかったわけではない。しかし、近年の日本文化への関心の高まりや円安の影響に加え、政府がインバウンドを経済政策の柱に据えたことで局面は明らかに変わっている。
筆者は新大阪駅を日常的に利用しているが、新幹線の改札口付近の風景はコロナ禍の収束後、様変わりした。外国人観光客が目立って増えただけでなく、コロナ禍前には目立たなかった欧米系の人たちの比率が高まり多様化しているのだ。夏季休暇のシーズンに入っていることもあり、…
あと80%