「これは絶対にやるべきだ」。森山未來さんからアーティスト・イン・レジデンスの相談が来た時、筆者はそう直感したという。アーティストの滞在を受け入れることで、どのようなことが街にもたらされるのか。
2021年9月、私は神戸フィルムオフィスのスタッフとして、映画の撮影現場にいた。その映画に出演していた俳優の森山未來さんから、ある日の休憩時間に「神戸にアーティスト・イン・レジデンス(以下AIR)をつくりたいんです」と言われた。「アーティストが一定期間、街をリサーチしたり、作品を制作したりするための滞在施設を神戸でやってみたい」と。
その頃の私はAIRが何なのかも知らなかったが、ぜひ手伝いたいと志願。物件探しをする内に4カ月後に築58年(当時)の趣のある外国人向けにつくられたマンションが見つかり「ここならできる」と思った。仲間にも声をかけて6人でHAAYMMというチームを結成してAIRの運営をすることになった。一般社団法人を立ち上げ、マンションを賃貸契約し、私は管理人としてその一室に住み込み、Artist in Residence KOBE(以下AiRK)としてアーティストを迎え入れる日々が始まった。
森山さんから「AIRをつくりたい」と聞いた日から10カ月。今から思うと驚くようなスピードだったが、分からないなりに私の中で「これは絶対にやるべきことだ」という直感が芽生え、…
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