新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。
メディア露出が難しい書籍は
イベント要素を組み合わせて
“画が撮れる”と思わせる!
2024年2月に新著『クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略~BADプレイスでも儲かる理由~』(ごきげんビジネス出版)を刊行しました。しかし書籍は出版点数があまりにも多く、メディア露出は非常に難しいのが現状です。そこで、この本のリリースをテキストに、書籍を取り上げてもらう方策を解説したいと思います。
最初に、書籍について説明しましょう。皆さんもテレビで広大なフロアいっぱいにクレーンゲームが並ぶゲームセンターを見たことがあるのではないでしょうか。多くの場合は、エブリデイというゲームセンターで、埼玉県北本市が拠点の東洋が運営しています。
近年は大手ゲームメーカーもクレーンゲーム専門店をオープンさせていますが、エブリデイは「宝石キャッチャー」「5円キャッチャー」といったゲームのバリエーションや専門インストラクターによる接客で、他社が真似できない存在となっています。なぜエブリデイが特別で、成功しているのか。その理由をルポルタージュ形式でまとめたのが本書です。
この本を執筆した経緯は、同社の代表取締役社長・中村秀夫さんが私のPR講座に参加し、コンサルティング依頼を受けたことです。私は当初、やんわり断るつもりでいました。というのもゲームセンターは、メーカーの機種が並べてあるだけで差別化しにくい上、風営法や管轄の警察の規制があり、PRで成果を挙げるのは難しいことが分かっていたからです。
しかし、人並みならぬ中村社長の熱意に突き動かされるように、私もPRに適したユニークな景品アイデアなどを提案。...