複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
積水ハウスは、東京都国立市に建築していた10階建ての分譲マンションについて、2024年6月4日に市に新築事業の廃止を届け出ました。7月には完成を控えていたにもかかわらず、「眺望に与える影響」等を理由に解体を決する異例の事態だったため、多くのメディアで報じられました。今回は、このケースを中心に、企業の社会的責任(CSR)を意識した意思決定に関わる危機管理広報について取り上げます。
積水ハウス、完成間近のマンション解体問題
2024年6月4日
積水ハウスは、国立市内の富士見通り沿いに建設中だった分譲マンションについて、景観への影響を理由に事業中止を決定。6月4日に国立市に届け出た。完成間近のマンションを解体する異例の事態となった。6月11日、積水ハウスは、建物が富士山の眺望に与える影響を再認識したなどと声明を発表している。
異例のマンション解体に「なぜ?」
積水ハウスが分譲マンションを建築していたのは、国立駅から富士山を一望できる富士見通りに面した場所でした。
マンションの建築によって眺望に影響が出ることが懸念されるため、積水ハウスは2021年以降、近隣住民や国立市との話し合いを重ね、当初予定していた11階建てから10階建てに変更するなど二度にわたって設計を変更した後、…
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