神戸には目玉となるような観光資源は少ない半面、街は多様で、それぞれの魅力にあふれており、神戸の人でさえその魅力を簡潔に話すことができない、と筆者。街の魅力を可視化するために取り組んできたこととは。
2023年4月、神戸観光局の広報部門が設立されることになり、神戸フィルムオフィスと兼務で担当することになった。思い起こせばホテルで広報の仕事をしていた頃から、もう20年以上も神戸の観光について考えていることになる。これまでの集大成として、改めて神戸と向き合う覚悟で広報・メディアリレーション担当部長を拝命した。
神戸の魅力ってなに?
神戸には「異国情緒あふれるおしゃれな街」という良いイメージはあるが、観光の目玉となるような歴史的遺産もなければ、大きなテーマパークもない。イメージだけでは具体的な集客に結びつけるのは難しい。ホテルの広報担当時代に、全国誌の雑誌編集者に「今、東京の読者が神戸に行かなければならない理由は何ですか?」と問われ、口ごもったことを思い出す。神戸は海も山も、都会も田舎も、外国も古い日本も、里山も、温泉も……無いものは無いくらい多彩な街だ。観光ポスターをつくる時も、訴求したいことが多くて毎回4種類つくらざるを得ないという、ある意味、贅沢な課題を抱えている。言い換えると、「なんでも平均点以上だけれど、…
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