社内コミュニケーションの活性化を目指して施策を実施しても、社員が受け身の状態で参加していると十分な効果が発揮されないこともあるだろう。社員を巻き込み、参画意識を生み出すための仕組みについて、工夫を凝らした入社式を実施した2社が語り合う。
個性や時勢を入社式に反映
─2社とも工夫を凝らした入社式を実施されていました。その狙いや注力したポイントを教えてください。
鈴木:パナソニック コネクトはパナソニックグループが2022年4月に分社化して生まれたBtoBのIT企業です。IT企業らしいイメージを伝えるため、数年前に入社式を「Welcome Ceremony」に改称しました。また入社式を、社名にある“コネクト=つながり・絆”を新入社員の方に感じてもらえる場にしたいとの思いも込めて「Welcome Ceremony」を企画・実施しています。
今年は「カラフル」をテーマに、“自分らしい色”を身につけて参加してもらいました。これは、DEIの発想をベースに、皆さんの個性を発揮してもらいたい、という意図によるものです。「スーツでなくてOK」と伝えても、新入社員は「本当によいのだろうか?」「浮いてしまわないか?」などと不安になり、無難にスーツで来るということも起こりがちです。そのため、社員がカジュアルな服装で働いている様子を写真に撮り、「このような感じで大丈夫です」と案内したところ、皆、意図を汲み取ってくれ、だいぶカラフルになりました。また、社長である樋口(樋口泰行氏)のAIアバターを制作し、AIアバターの樋口が話している動画を流した後、本人が登壇するというサプライズも仕掛けました。AIアバターは最新のサービスや社内向けの生成AI「ConnectAI」で制作しており、失敗を恐れずに新しいテクノロジーを取り入れる当社の姿勢を表現しました。結果として、入社式の様子は、多くのメディアに取り上げていただくことにもつながりました。
村田:ローソンでは、4月1日が改正障害者差別解消法の施行のタイミングだったこともあり、入社式では新入社員の皆さんに手話での基本的なあいさつを学んでもらいました。当社では入社後、まずは店頭での接客から...