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スタートアップ企業の転機

「空き家問題」の専門家の立場確立 自社の露出につなげる戦略も

下矢一良(PRコンサルタント・ストーリーマネジメント代表)

テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、メディアで話題となっているスタートアップ企業の転機に迫ります。

DATA:空き家活用
創業年 2014年8月
事業内容 空き家の市場への再流通システムの構築、空き家所有者と空き家利用者をつなぐポータルシステムの構築・運用、空き家に対する新しい利活用モデルの開発・提案
従業員数 15名+役員6名(2023年9月時点)
広報体制 3名(うち2名は兼業)

国土交通省によると、全国の空き家総数は849万戸。すべての住宅に占める空き家の割合は過去最高の13.6%。20年で約1.5倍にまで増えている(令和4年10月『空き家政策の現状と課題及び検討の方向性』より)。

今や社会問題と化している空き家の増加。少子高齢化に歯止めがかからない中で、空き家の数はこれからも増え続けるのは確実だ。

「空き家問題」企業の第一想起を

深刻化する一方の問題だが、その解決を担おうというのが「空き家活用」だ。空き家所有者と物件に関心のある不動産業者らをつなぐマッチングサービスなどを展開している。「空き家活用」は、この問題に関して今最も取材されている企業のひとつだろう。『ガイアの夜明け』、『NHKスペシャル』、そして『クローズアップ現代』には2回も登場している。「私たちの『空き家問題を相談する』という業態はこれまでになかったものです。この新たな取り組みを理解してもらうには、広告よりも広報活動によりメディア露出を狙うことが適しています」。こう語るのは、和田貴充社長だ。

多くのテレビ番組に出演し、「空き家問題」についてコメントしてきた。「私たちが広報で狙っていたのが『空き家問題で最初に連想される存在になること』です。そのためプレスリリースを中心に情報を発信してきましたが、今年になってこれらの『種』が一気に開花しました」。マーケティング、さらに広報戦略を担う坂井裕之取締役CMOは、こう打ち明ける。

受けから攻めの施策に…

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