企業価値を持続的に高めるための社外コミュニケーションが求められる中、自社の重要課題に沿った従業員の意識改革も欠かせない。どのような施策だと、重要課題の意識の浸透につながるのだろうか。社内施策に注力しているTBMに聞いた。
石灰石を主原料にした、リサイクル可能な新素材「LIMEX」(ライメックス)の開発・販売を手がけるTBM。企業の本業と、環境配慮などの社会貢献が密接に絡んでいる同社は、企業の理念体系「TBM Compass」のミッションである「進みたい未来へ、橋を架ける」の実現に向け、「2030年までにカーボンネガティブを実現する」といった重要課題に関する目標を策定。環境負荷を軽減する事業に積極的に取り組んでいる。
こうした課題解決を実現するには、社外への発信に加え、社内向けにもサステナビリティ(環境配慮が中心)の意識醸成が欠かせない。そこで2021年に発足した「サステナビリティ研究会」での活動を軸に、最終的には社内イノベーションの創出を目指している。
解散を目的とした研究会
「サステナビリティ研究会」を主導するのは、同社の「サステナビリティ部」だ。「サステナビリティをアタリマエにすること」をモットーに、ゆくゆくはサステナビリティ部の解散を見据え、社内にサステナビリティ意識と行動を浸透させることを目指す。同部は研究会活動による啓発のほかにも、製品や事業における環境負荷の定量化など、企業活動に深く関わっている。
ただ、サステナビリティ領域は社会的にも日夜議論が進み、次々とアップデートされていく。企業でも規制への対応が迫られ、顧客やステークホルダーからのニーズの変化に直面することが予想される。こうした局面では、サステナビリティ部だけでなく、現場の社員も巻き込みながら、最新の知見を迅速に業務に落とし込むことが求められる。また、現場の社員からも「サステナビリティについてもっと学びたい」という声が挙がったため、「サステナビリティ研究会」の発足に至った。
「環境に配慮した新素材を事業の主軸に置く当社にとって、サステナビリティに関心や知識を持つ人が社内に増えることで、企業活動のさまざまな段階で地球環境や社会に考慮した意思決定が行えるようになり、企業全体としてもサステナビリティが推進されます。また、新しい事業アイデアの創出も促進され、結果的に企業の成長につながっていくという確信があります」(サステナビリティ部 荒川悠氏)。

「サステナビリティ研究会」を実施している様子。全6回のプログラムの内、前半の3回では、サステナビリティ(環境配慮)に...