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ESG発信ケーススタディ

企業の課題まで赤裸々に開示しステークホルダーとの『創造的対話』促す

アバントグループ

統合報告書は、企業の財務・非財務データから、自社の強みや経営ビジョン、事業展開をまとめたもの。だが、画一的な形式を踏襲するだけでは、自社の存在意義が伝わらず、企業価値の向上につながらない。企業の価値創造につながる統合報告書づくりとは。

連結会計のソフトウエア開発に加え、グループ経営の支援、決算業務のアウトソーシング、DX・データ活用支援などの事業を展開するアバントグループ。さまざまなサービスの提供を通じて、顧客企業の「経営のDX」を支援する同社は、独自の統合報告書により、自社の企業価値をステークホルダーに深く伝えている。

対話を促す“ツール”に

統合報告書のコンセプトは“創造的対話”で、タイトルもその英訳「CREATIVE DIALOG」。制作の目的は、「企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためのコーポレート・ガナバンス改革を図るため」だ。

コーポレート・ガナバンス改革とは一般的に、経営体制の再構築を通じて自社の持続的な成長を確保するもの。これによって投資家をはじめステークホルダーにとっては投資や継続的な取引等の実効性を高めるものとなる。こうした中、同社の“改革”では、特に「対話の促進」を重視。経営者が投資家や社外取締役だけでなく、顧客や社内の経営陣、従業員をはじめ業界を超えた経営者、専門家とも積極的に「対話」することで、外部の視点を取り入れ企業の価値創造を図る考えだ。

こうした“創造的対話”を促すには、「経営情報の開示」も欠かせない。その一環として2020年度版から統合報告書の作成をスタート。報告書を単なる事業計画ではなく「未来を創造するためのもの」と位置付けた。

反省点まで赤裸々に開示

最新版となる2022年度の統合報告書は、2022年8月に制作がはじまり、翌2023年1月に発刊。制作のこだわりについて「2021年度版はサービスの提供を通じ、顧客企業の『企業価値の向上に役立つソフトウエア会社になる』という当社のマテリアリティ(重要課題)を伝える内容だった。このため、2022年度版はそのアンサーとして『マテリアルをいかに実現していくか』までを示すことにこだわりました」と同社の執行役員 兼 IR室室長を務める諸井伸吾氏は振り返る。

それを具現化しているのが、2022年度版の巻頭に掲載した、代表取締役社長 グループCEO森川徹治氏のトップメッセージだ。「トップメッセージでは...

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