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企業のサステナビリティ

事業戦略を裏付ける人材戦略を未来のステークホルダーに発信

西村 萌、山井翔平(経済産業省)

2022年8月、人的資本経営コンソーシアムが設立された。また、経済産業省ではサステナビリティ課題を経営戦略に取り込むことで中長期的な企業価値向上を促す「SX」といった変革も推進。情報発信・コミュニケーション領域を担当する広報担当者ができることとは。

従来、コストだと考えられていた人材を「資本」として捉え直し、中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」。2022年8月、一橋大学 CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏をはじめとする計7人が発起人となり、人的資本経営コンソーシアムが設立された。

人的資本経営を推進するにあたって課題となっているのは『経営戦略と連動した人材戦略をどう考えていくのか』(実践のフェーズ)と、『その戦略をどのように発信してアピールにつなげていくか』(開示のフェーズ)の2軸。

「『人材版伊藤レポート2.0』では、実践ガイドと先進事例と共に、人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素をアイデアの引き出しとして発表(図1)。また、人的資本の情報開示についても環境整備が進んでいます。こうした流れの中、『経営戦略と連動した人材戦略の実践』と『人的資本の情報開示』を両輪で進めていくという観点から設立されたのが『人的資本経営コンソーシアム』です。人的資本経営へ取り組む企業同士で情報や課題を共有することで、互いに切磋琢磨していただくような場になることを期待しています」と経済産業省 経済産業政策局 産業人材課の西村萌氏は語る。

図1 人的資本経営のフレームワーク

経済産業省が発表した『人材版伊藤レポート2.0』では、人的資本経営においては、「企業価値向上につながる実践」と「取り組みに関する情報開示」の2軸が重要だとされている。レポート内では人的資本経営のフレームワークを提示。この図はレポートを参考に、そこで紹介されている3つの視点と5つの共通要素を簡素化したもの。この視点と要素はサステナビリティ発信における切り口としても活用できそうだ。

実践・開示の背景を明確に

コンソーシアムでは「人的資本経営をどのように経営課題化するか」や、その上で「リスキリングをどう実践していくか」「職務・業務に対して、適切な人材の再配置をどう行っていくか」といったことが議論になっているという。

「コンソーシアムでは投資家も交えた議論や対話を行っています。人的資本情報の開示については、経営戦略の土台になる人材戦略、人的投資という観点から、KPIや事例を示していくことが...

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