持続可能な企業経営の実現において、今注目を浴びているのがイノベーションを創出する「人材」への投資だ。各社が独自の人材戦略を打ち出すなか、どのような発信がステークホルダーからの反響を得ているのか。先進企業に聞く。
「商社は人なり」という言葉があるように、総合商社の双日では、人材こそが価値創造の源泉であると打ち出す。「事業や人材を創造し続ける総合商社」を目指す姿とし、経営戦略・事業戦略と人材戦略の連動を図る。こうした人材重視の方針や施策について、社内理解を得ていくにあたり、2021年に発表した「人材KPI」という“見せ方”が奏功している。
人事施策と目指す姿をつなぐ
人事部は経営陣と議論を重ね、2030年の目指す姿の実現に向け、現・中期経営計画の期間に注力する人事施策の項目を6つに絞った(女性活躍、デジタル人材、外国人人材、挑戦・成長実感、健康経営、育児休暇)。それぞれの目標数値を定め、定量的に効果測定できるようにしたのが「人材KPI」だ。
例えば「女性活躍」であれば「2023年度女性総合職の海外・国内出向経験割合40%」という独自のKPIを設定。この指標達成が、ひいては女性社員・課長職の比率を増やし、多様性と自律性を備える個の集団づくりへとつながっていく。その流れと数値を人事部ではフロー図にまとめ発信している(図1参照)。
あと60%