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記者の行動原理を読む広報術

プレスリリースの構成は「新聞式」で掲載率を高める

松林 薫(ジャーナリスト)

たくさんの情報を目にする記者にとって、冗長なプレスリリースは扱いづらい。一方、記者にとって助かる情報のまとめ方になっていれば、掲載率も高まるというもの。新聞の構造を理解し、簡潔に伝わるプレスリリースの作成を目指したい。

年度が変わり、初めて広報を担当したり、そうした新任者に業務を教えたりする人が増える季節だ。メディア対応では、プレスリリースの作成が最初の課題になるだろう。今回は記者にとって読みやすいリリースの書き方を、特に「構成」に注目して考えてみよう。

プレスリリースを書き慣れない人が戸惑う原因の一つに、「盛り込まなければならない情報が多すぎて整理できない」という問題がある。記者クラブなどに投げ込む紙のリリースはA4用紙が基本だ。日常的な発表なら、できれば1枚に納めたい。ところが発信元の部署や幹部の注文などを聞いていると、書かなければならない情報がどんどん増えていく。A4用紙などあっという間に埋まってしまうだろう。

記者のテクニック

どう文章にまとめるかも、頭を悩ませる要素の一つだ。例えば、商品の機能や専門用語については、分かりやすい説明をつけたい。しかし、詳しく書けば文章が冗長になってしまう。省略すると、今度は記者からの問い合わせを受けて説明する羽目になる。正確さと簡潔さを両立させるのは難しいのである。

実は、記者も抱えている悩みは同じだ。新聞もテレビも、ニュース原稿の字数には制限がある。一方で、読者には分かりやすく伝えたい。課せられている制約は、広報よりも厳しいかもしれない。

では、この問題に記者はどう対処しているのか。よく使うテクニックの一つが「記事を複数のパーツに分割する」という手法だ。

新聞を例にとろう。大きなニュースになると、記事1本では説明しきれないことがある。その場合、まず1面や総合面(1面に続く面)に「本記」と呼ばれる50~60行程度の記事を載せる。ニュースのポイントはここに全て盛り込むのが基本だ。

一方、事件の背景や今後の展開についての予測などは本記には書ききれないことが多い。その場合は解説記事を本記とは別に掲載する。本記と同じページに並べて書く場合もあるし(サイド記事などと呼ばれる)、大きなニュースだと他の面に複数展開する場合もある。例えば一般的な解説は総合面、企業や株式市場への影響は経済面、政府の対応は政治面、一般の人の反応は社会面、といった具合だ。

その際、ニュースの理解に不可欠なキーワードが、一般の読者にはなじみのないものであるケースもよくある。しかし本文の途中で説明すると読みにくくなるので、記事の最後などに...

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