社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。
2022年11月26日、オタフクソースが創業100周年を迎えた。「Otafuku100プロジェクト」を立ち上げ、周年コンセプトを「感謝と笑顔の100周年」に設定。
周年施策では、「グループ社員」と「その家族」、最終ユーザーである「お客さま(一般生活者・お好み焼店)」、「地元(広島)」や「パートナー企業」と幅広いターゲットごとに企画を実施。「変革や挑戦など、周年施策にも様々なパターンがあるかと思いますが、今回は100年の『感謝』がテーマですので、ステークホルダー別にゴールイメージを設定し、逆算方式で達成に必要な企画を検討していきました」。そう語るのは、広報部部長であり100周年プロジェクトのリーダーを務める大内康隆氏。


パートナー企業を招いて開催した「100周年感謝の会」では、立候補した社員が音楽と映像に合わせて踊りながらお好み焼きを焼くパフォーマンスを実施。さらに「お好みソース」ができるまでをプロの劇団が上演した。
自らアイデアを出す社風
グループ社員にアイデアを募集すると、社員数を超える1000件以上の応募が集まった。これは、「普段から社員自らアイデアを出したり、立候補したりする」という社風のある同社ならでは。
その姿勢は、100年の100日前から毎日公開された、部署ごとのカウントダウン写真や、社員自ら考案・出演・制作した「創業100年記念日動画」のYouTube公開など、様々な企画に結実。
「社員による、社員のための“ガイドブック”」がコンセプトの冊子『FUKURAM』でも、趣味のカテゴリごとに社員を紹介する「輝け!しゃいーん図鑑!」にはおよそ8割の社員が登場した。また、100年当日に創業者夫妻にメールが送れるよう、アドレスを作成。社員からの200通を超えるメッセージは印刷して夫婦の墓前に供えたのち、タイムカプセルに保存されている。

『FUKURAM』では、創業者の言葉を体現する同社の文化や取り組みを掲載。また「会社の歴史や社員の経験を知ることで新たな気づきやチャレンジのきっかけになれば」と課長以上の社員が語るターニングポイントや、自社が製造した家庭用商品を見開きですべて見せるなど、読み応えのある構成になっている。
笑顔になってもらえる施策を
「地元」と「お客さま」に向けた取り組みで話題となったのが、広島市の公園への遊具寄贈と、アーティストの斉藤和義とコラボレーションしたオリジナルソング『100年サンシャイン』だ。
複合遊具やブランコ、鉄棒、ベンチなどを...