昨今、健康経営に取り組む企業が増えています。健康経営は企業にどのような好影響をもたらすのでしょうか。また広報担当者はどのように関わることができるのでしょうか。
前回は、健康経営*1の取り組みを社外向けに発信することで、どのような効果が企業に期待できるのかを紹介しました。今回は、企業が外部から求められている情報開示について考えます。
*1 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です
SDGsの開示
企業のサステナビリティ戦略の一つとして、規模にかかわらず多くの企業が開示しているのがSDGsです。世界共通目標であるため、SDGsの具体的な169達成基準には、直接的に健康経営に該当する項目は入っていませんが、概念を拡張させれば「3すべての人に健康と福祉を」「8働きがいも経済成長も」が該当すると言えます。
また、健康経営に取り組むとヘルスリテラシー(健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力)も上昇することが分かってきました*2ので、「4質の高い教育をみんなに」も含まれます。
*2 福田洋,健康経営とヘルスリテラシー,予防医学,第61号(2020:1),pp19-28
2016年、NHKが健康格差(所得や住んでいる地域などによって、病気のリスクや寿命に格差が生じること)について取り上げました*3。ご覧になった方もいると思います。しかし、すべての日本企業が健康経営に取り組めば、健康格差は所得や地域に依存することなく、最低限以上のヘルスリテラシーが向上することにより、格差が解消されることが期待できます。
*3 NHKスペシャル取材班,健康格差 あなたの寿命は社会が決める,講談社現代新書,2017,11,15
人的資本経営と健康経営
次に、上場企業の場合は、株主向けとして統合報告書や金融庁からの...