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地域活性のプロが指南

「価値ある情報の発信」がカギ LINEによる情報発信のポイント

榎田正治(福岡県春日市)

福岡県春日市では、広報にLINEを活用。開設約2年半でその友だち数は約6万5000人に迫る(人口比57%)。重視するのは「ブロック数」という春日市が、運用で留意するポイントを紹介する。

全国的に、多くの自治体で運用されるようになったLINE。普及の背景にあるのはその利便性の高さでしょう。活用の仕方によっては単なる情報発信ツールに留まらず、さまざまな問い合わせ対応、申請・申込受付を行うことができるなど、スマホ時代の今、行政や市民にとって「持ち運べる役所」として評価されていると言えます。

GovTechプログラム導入1号

春日市では、2004年からメール配信サービスを開始。重要な広報ツールとなっていました。ところが、近年では「スマホ利用者の約7割はキャリアメールを送らない」と言われるなど、生活者のメール利用頻度は減少しています。春日市のメール登録者数も約7000人で頭打ちとなり、その後は減少傾向に。また、メールは埋もれて開封されないこともあるなどの課題がありました。

このような背景から、年齢に偏りなく多くの市民が日常的に利用しているLINEの活用を検討していた時期に、LINE Fukuoka社から「LINE SMART CITY GovTechプログラム」への参画に声を掛けていただきました。本プロジェクトは、福岡市が先進的に開発・実装するLINE公式アカウントの各種機能を、全国に横展開させることを目的に、機能の開発に必要なソースコードを無償で公開するもの。自治体のLINE公式アカウント開設のハードルを下げることが期待されています。

春日市は、同プログラムを活用したアカウントの第1号自治体として、機能の検討や検証などに協力。2020年8月にLINE公式アカウントを開設しました。

市民の声を機能に反映

春日市LINE公式アカウントでは、ユーザーの興味関心や居住地域などの属性に基づきメッセージを送る「セグメント配信」、市内のハード面に関する不具合を位置情報と共に通報できる「道路公園等通報」、チャット形式でごみの分別方法を案内する「ごみ分別チャットボット」、防災に関する情報や避難所への経路を案内する「避難行動支援」など、市民にとって利便性が高いと思われる機能を提供しています。

また、LINEの特長は拡張性。アカウント開設後も、新型コロナワクチンの接種予約機能や、子育て情報を集約したデータベースなど、随時、機能を追加してきました。特筆したいのは、広報担当に寄せられる市民の声を大切にしながら、機能や運用の検討を行ってきたことです。

例えば、新型コロナワクチンの集団接種を開始した当初、「春日市は接種が進んでいないのではないか」との疑念の声が多数寄せられた際には、すぐに接種状況を定期配信しました。他にも、「コミュニティバスの時刻表を調べるのに時間がかかる。LINEで手軽に調べられたらいいのに」との意見を受けて、「時刻表案内機能」を実装しました。

このように、LINEの特性を活かして、情報提供の仕方そのものを市民ニーズに合わせて最適化できたことは、広報の可能性を...

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