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実践!プレスリリース道場

企業が出版する「書籍の刊行リリース」でメディア露出へ

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。

作家だけが本を書く時代は終わり、現在は企業経営者も多数出版しています。しかし、なかなか思うように売れず苦戦する方が多いようです。そんな中、社長の七呂恵介さんが執筆した『災害に強い家はこうつくる』(青春出版社)が、Amazonの「住宅建築」「住宅建築・家づくり(本)」「リフォーム」の3部門で1位を獲得した七呂建設を取材しました。

七呂建設は、もともと公共施設などの型枠を手がけていましたが、現社長が住宅市場に進出。広報も駆使して鹿児島県ナンバーワンのハウスメーカーに躍り出た企業です。以前、この連載でも紹介したように核シェルターを日本で初めて輸入したり、アリーナで大規模なイベントを開催したりと、先進的な取り組みを続けています。

今回の書籍は、七呂さん自身が当たり前だと考えていた「災害に強い家をつくること」が、消費者にとって当たり前ではないと気づいたことが、執筆のきっかけでした。七呂さん自らいくつかの出版社に企画を持ちかけ、版元は青春出版社に決まりました。「受験参考書を多数刊行しており、間違いのない正確な本をつくってくれる、というのが決め手だったと聞いています」と広報チーフの野久保里奈さん。

七呂さんは業務の合間を使ってノートに手書きで原稿を書き進め、それを野久保さんや、同じ広報の大角真里奈さんらがパソコンで清書するスタイルで、およそ1年をかけて執筆。写真掲載については他の社員が許可を取り、間取り図は専門の社員が起こすなど、社員も協力してつくった1冊です。

「書籍」を選んだ理由

ところで、なぜ書籍だったのでしょう。考えを発信するなら、自社のHPなどで手軽にできますが、「HPはアクセスした人にしか見てもらえないが、本ならもっと多くの人の目に留めてもらえる」というのが理由でした。

リリースは大角さんが原案をつくり、野久保さんが調整していきました。ここからはリリースを見ながら話を進めていきましょう。まず他のリリースと同様、最も力が入るのがタイトル。この本の帯文は、世界的建築家の隈研吾さんが書いています。七呂さんは以前から面識があり、依頼したところ快く引き受けてくれたといいます。

書籍は日々多数刊行されるので、内容だけで目立たせるのは難しい面があります。ですから、(ポイント1)別の話題性を持つ切り口、この場合は「あの隈氏も推奨」という著名性を付加することで、他よりも目立つことができます。もちろん本文で隈氏のプロフィールなども補足しています。


『災害に強い家はこうつくる』刊行リリース

(ポイント2)リリースの1枚目では、「要注意な営業マンの特徴とは?」など書籍の内容を疑問形で箇条書きにし、2枚目の「本書の要約」へと誘導しています。1枚目だけではスペースが足りない場合、こうした方法が有効です。

書籍の内容は2~3枚目で詳しく紹介しています。著者の想いや出版の目的は、まえがきから抜粋。要約は野久保さんがまとめており、どこを抽出するか悩んだといいますが、原稿の清書を担当し、内容を熟知していたことが大きく役立っています。著者の想いを完全に理解していることが、広報活動にも功を奏したのは間違いありません。

(ポイント3)3枚目には本書の見どころとして実際のページの見開き画像と解説を入れています。これは当連載(2022年5月号)で紹介した昭文社の手法と同様。連載を毎回熟読し、勉強してくれている野久保さんは...

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