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地域活性のプロが指南

発信力を高める体制づくりで職員の広報マインドを醸成する

榎田正治(福岡県春日市)

前号では、職員が効果的な広報活動を行うためのガイドラインを紹介した。今回は、このガイドラインの実効性を高めるために行っている「体制づくり」について紹介する。

前号で紹介した『職員広報ガイドブック』。これは春日市の職員が広報活動を行う際に守るべきルールなどを記載したものですが、広報担当として、情報発信力の全庁的な向上を目指すには、ルールやマニュアルだけでなく、「体制づくり」も欠かせません。春日市では、市の取り組みを話題化させるためのパブリシティ強化、市が発行するさまざまな広報媒体の訴求力向上、動画媒体の活用促進など、広報担当が関わりながら各部署の発信力を高めていく体制を整えています。

プレスリリースは量と質

以前から春日市は「宣伝下手」と言われていましたが、その要因の1つは、市民がメディアで春日市のニュースを目にする機会が少なかったことでした。このため、春日市では2016年からパブリシティの強化を目指し、例えば定例記者会見の前にはリハーサルを行い想定問答を実施するなど、さまざまな取り組みを行いました。

その中でも特に力を入れたのは、パブリシティにおける最大のツールともいえる「プレスリリース」です。当時、プレスリリースに関し「数が少ない」「興味を惹くものとなっていない」「ノウハウが定着できていない」「配信先が少ない」という4つの課題がありました。そこで、それぞれに対応するよう、次のことに取り組みました。

▶市報原稿や首長スケジュールなど、広報担当が事前に入手できる情報に留意し、良いネタがあれば担当部署にプレスリリースの作成を打診する

▶プレスリリースの作成を担当部署に任せきりにせず、広報担当でチェックし、分かりやすさやインパクトを高める

▶広報担当がプレスリリースを一元管理するとともに、過去の事績はイントラネットで保存・共有し、ノウハウを蓄積する

▶特に広くPRが必要となる事業は、日頃から発信先としている記者クラブやテレビ局に限らず、ネットニュースやフリーペーパーの編集部にも情報を発信する

また、これらの体制を確立することと合わせて、バラバラだった市のプレスリリース様式を統一すると共に、プレスリリースのつくり方やポイントをまとめたマニュアル「パブリシティ活動に関する指針」を策定しました。

このような取り組みの結果、当時年20件に満たなかったプレスリリース数は、安定して100件を超えるようになりました。また、プレスリリースを一元管理する広報担当にとっても、ブラッシュアップするスピードや精度が上がったり、「学校関連の情報が拾われやすい」といったように、取り上げられやすいネタの傾向を掴むことができたりと、経験値の蓄積につながって...

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