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記者の行動原理を読む広報術

斬新な切り口を探すならアナログ情報が役に立つ

松林 薫(ジャーナリスト)

新鮮味のある広報企画を考えたいなら、情報収集をする場を変えてみるのも手だ。今回は、元記者である著者による、図書館を活用した企画のつくり方を解説。新聞縮刷版など、図書館はネタの宝庫であるという。

来年度の広報計画を考える季節が近づいてきた。一方で年末年始から年度末にかけ、仕事は増える一方。企画などのアイデアが思い浮かばず焦っている人も多いのではないだろうか。実はそんな時、力になってくれるのが図書館だ。足を運ぶ手間はあるものの利用はタダ。新型コロナの利用制限も緩和されているので、活用しない手はない。

アナログで「逆張り」する

新しい企画のネタが浮かばず悩むのは新聞記者も同じだ。特に筆者はコラムや連載の執筆が多い部署が長かった。毎週の企画会議が近づくたびに胃がキリキリしたものだ。

そんな時に頼りがちなのがGoogleなどの検索エンジンだろう。手っ取り早く結果を得ようとネットにキーワードを入力してしまう。しかし、これぞという答えが返ってきたためしがない。考えてみれば当たり前で、検索エンジンのアルゴリズムは最も使用頻度が高い情報を上位に表示する。言い換えれば常識的で、みんなが思いつきそうなことしか教えてくれないのだ。一方、「ネタ」はなるべく意外性や新鮮味があった方が良い。「正解」が決まっている問いならともかく、斬新な切り口を探しているなら検索エンジンに頼るのは間違いなのだ。

そういう時は「逆張り」に限る。世の中は官民挙げてデジタル化へまっしぐらだが、あえてアナログを活用するのだ。中でも頼りになるのが紙媒体の殿堂、図書館である。筆者もアイデアが思い浮かばない時は国会図書館や東京都立図書館を訪ねることにしている。実際、これまで何度、助けられたか分からない。

ヒントをくれる新聞縮刷版

活用法を具体的に紹介しよう。例えば、来年度のキャンペーンを考える時、最も安直なのは「××から●周年」ネタだ。ところが、これがネットでは簡単に見つからない。例えば50年前の1973年にどんなことがあったかを調べれば、すぐに第一次石油危機がヒットする。しかしだからと言って「石油危機50周年」では企画にならないだろう。特定の業界の話題のようなマイナーな出来事になると、そもそもネットに古い情報は転がっていないのだ。

そんな時にヒントをくれるのが図書館にある新聞縮刷版だ。縮小した紙面を1カ月ごとにまとめた冊子で、産経新聞を除く全国紙やブロック紙(広域の地方紙)などが発行している。例えば50周年ネタを探すなら、1973年の1年分12冊に目を通す。分厚い冊子なので...

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