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長寿企業の極意・周年イヤーの迎え方

厳しい状況下での100周年事業 『自分ごと化』で一体感を醸成

東急

社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。

ラッピングされた100周年トレインの車内には、1922年から今日までの歴史と今後の取り組み、そして東急線を走ってきた歴代車両を紹介するポスターシリーズなどを掲載。


2022年9月2日にグループ創立100周年を迎えた東急。周年事業のコピーに「ありがとうを、ずっと、ずっと。」を掲げて施策を展開してきた。

予算見直しからのスタート

2017年から企画検討を始めたものの、コロナ禍で状況は一変。さらに交通事業やホテル事業の業績悪化により、予算も規模も見直さざるを得なくなった。

「業績を考慮して予算もなかなか立てられず、チームで集まることも難しい中で、“誰に、何を届けるのか”を考え続けました」と社長室総務グループ主査の真鍋宏嗣氏。同じく主査の若山定之氏が言葉を継ぐ。「厳しい状況下での周年事業だからこそ、感謝を伝えることはもちろん、東急グループの一体感醸成と『美しい時代へ』というグループスローガンの再認識もテーマとしました」。

主な施策は真鍋氏ら4人のチームで検討しながら、一体感を高めるべくグループ全体にもアイデアを呼びかけた。

「会社として非常に厳しい時期でしたので、どこまで自分ごと化してもらえるか心配でしたが、100周年ロゴマークの発表以降、ロゴの活用法や企画の相談が届くようになりました」(若山氏)。

2022年4月以降は100周年ロゴマークのラッピングを施した「東急グループ100周年トレイン」運行のほか、小学生が東急沿線の街の未来を描く「東急のまちの未来を描こう 小学生コンクール」、LINE公式アカウントを活用したグループ賞品プレゼント施策「ありがとうを、ずっと、ずっと。」キャンペーンを実施。

「東急ファンの皆さまにはTwitterでも『#東急100周年』というハッシュタグで、100周年トレインをはじめ今回の周年を盛り上げていただいております。小学生コンクールも579作品の応募をいただき、環境やSDGs、ジェンダーへの配慮など、その内容にも非常に感銘を受けました。この声に応えられる街をつくっていかなければという思いです」(真鍋氏)。

“みんなでつくる”を意識

インターナル向けの柱は2つ。ひとつは社内報やイントラネットなどを活用した従業員参加型コンテンツ。

「幅広い事業を手がける一方で、一体感の醸成が課題でした。日本で100年以上の歴史を持つ...

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