
イラスト/もとき理川
上場・財部・株谷:こんばんは。引き続き、リスクマネジメント全般について相談したいのですが。
大森:はい、では早速始めましょう。
上場:前回の話を受け、非常時のコンティンジェンシープランとBCP(事業継続計画)を考えているのですが、IR担当として両プランをどう区分するか、悩ましくて。
大森:ははは、悩むことはないよ。前回はイメージしやすくするために、一般的な事業活動を例にして、両プランを分けたけど、IRや広報は、他の管理部門と同様、生産や販売の各事業部署と異なり、活動自体は明確に区分しなくてもよい場合がある。
財部:そうですよね、影響の見極めに時間を要する場合もあるから、とおっしゃっていましたし。
上場:なんだ、そうなんですね。事業継続のために業務の優先順位をつけると言われても、具体的にどうするべきか整理しきれなくて。変えなくてもよいのですね。
大森:おっと、活動内容は変える必要はないけど、事態の収拾前と収拾後では明確に違うものがあるよ。
上場:えっ、混乱してしまいそうです。
大森:そうだね、提供すべき情報を順番に整理していきましょう。
IR部門はフェーズフリー?
大森:ではまず、IR部門の事業活動工程を個別に考えてみよう。株谷さん、どうかな?
株谷:そうですね、平常時でいいですか?えっと、まずは情報収集と重要度・影響度の分析、開示内容・時期の確定、実際の開示といったところですか。
大森:うんうん。杏奈さん、利子さん、何か付け加える工程はあるかな。
財部:資料作成などのクリエイティブな活動はどうですか?
大森:いいねえ、開示資料作成に加えて、投資家と質疑応答、対話や情報の一元管理も加えようか。
株谷:そうですね、一元管理、特に既開示かインサイダー情報かの整理は必須ですね。
大森:そうだね。じゃあ、一連のIRの工程を①情報収集、②重要度・影響度の分析、③開示内容・時期の確定、④開示資料作成、⑤実際の開示、⑥質疑対応・対話、⑦情報の一元管理とすると、それぞれの工程で、インシデント前後、平常時と事後で変わることはあるかと考えると、どう?
株谷:うーん、ちょっと待ってください。