60期を迎えるPR会社、共同ピーアールは、クライアントの広報業務のDXを水面下で進めてきた。増え続ける業務に悩む広報担当者や初めて広報に取り組む企業に向けて、同社が蓄積した広報DXのノウハウをサービスとして提供を始める。
共同ピーアールは、広報担当者にとって要の業務となるメディアリレーションのDXを推進している。DX推進室の立花圭亮室長が考えるDXは3点。❶業務効率化 ❷プロセスイノベーション ❸プロダクトイノベーションだ。まずはデジタル技術を活用して手作業が多かった広報業務を効率化。次に社内業務ツールを自社内製開発し広報活動の一部を自動的に行えるようにした。さらにその機能の一部を、業務改善プラットフォームとして一般公開する。
リスト作成、計測を楽に
立花氏が、共同ピーアール社員の業務時間を分析する中で目をつけたのは、広報活動の一連のプロセスのうち最も時間を要していた入口(=メディアリストの作成)と出口(=掲載確認、クリッピング)の効率化だった。
「コミュニケーションをとりたいメディア・記者は、商品広報かコーポレート広報かによっても大きく変わります。その都度、配信先リストをつくるのは手間。そこでメディアのデータベースを構築して配信先を検索できるようにし、1つのプラットフォームでリリースの配信から配信結果の表示、ニュース記事のPC・スマホ画面の自動確認までできるようにしました。バラバラのツールで計測せず1カ所に集めたことで、各社の広報の成果指標に合った分析がしやすくなっています」と立花氏。
例えば、リリースタイトルやキーワード別にクリッピングできる機能(ニュース記事URLとタイトル、リリースのPV数等を表示)を使えば、記事化されやすい媒体や広報メッセージの傾向がスピーディに把握できる。自社・他社問わず記事分析することで、より適した配信先や新たなリリースの切り口が発見できるというわけだ。
リリースに付加価値を
共同ピーアールでは、クライアントである企業の広報業務の代行において、このプラットフォームを社員が活用して効率化。より社員が注力するべき広報企画の立案や、メディアプロモートに時間を割けるようにしている。さらに2022年12月からは、その一部をSaaSサービス「PR-FORCE」(β版)として、社員でなくても利用できるように開放しプロダクトイノベーションを実現。月額30万円で、上記で紹介した機能が使えるように販売するほか、作成したリリースの添削も行う。
この「PR-FORCE」で注目したいのは「SNSモニタリング」と「スマホ掲載のチェック」機能が含まれている点だ。「SNSモニタリングでは、指定キーワード、指定IDを設定すると、自動でTwitter上から投稿データを取得し一覧を表示。簡易のポジティブ・ネガティブ判定も行います。ここで得たファクトをもとに“Twitter上で話題”のような付加価値情報をつけて、記者に提案することも可能です。また、生活者が目にすることの多いスマホ掲載面をチェックすることで、より実態に近い分析データを得ることができます」(立花氏)。
たとえ認知度が低く広告予算がとれない企業であっても、社会性・話題性のある企画をつくりこめればコミュニケーションの接点を広げられるのが、パブリシティ獲得の醍醐味だ。「広報メッセージの目線を変えたいならクリッピングで市場調査し、世間のトレンドを知りたいならSNSモニタリングといったように、データによる検証をすることで、最適なメディア露出への筋道が見えてきます」。
顧客の声で拡張するツール
共同ピーアールではプラットフォームを使用した顧客の声や運用データの蓄積をもとに機能を拡張。現時点では、メディアリスト作成時の検索のしやすさなど、業務実態に即した開発を続ける。将来的には、記事論調を分析した上で、AIが広報メッセージの波及効果を予測するような仕組みづくりも視野に入れる。メディアリレーションのDXにより、計測できる指標や活用できるツールが増えれば、広報活動がより事業価値の向上に寄与することになる。
お問い合わせ
共同ピーアール株式会社
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