対応が難しい不祥事や営業不振に対するメディア発表。今回はソフトバンク社長の孫正義氏の営業不振に関する会見を例に、記者から見た好印象の会見をレクチャーする。
危機に直面し、記者からの厳しい追及を受けている。かといって、明確な説明をすぐにすることが難しい。そんな場面を経験したことのある広報担当者もいるのではないだろうか。
こうしたとき、事態を沈静化しようと、その場しのぎで謝罪の姿勢を示し、追及を「かわす」ための謝罪原稿を用意してしまう企業も、残念ながら多くある。
「かわす」謝罪、さらなる追及に
しかし、実際に追及を逃れようとする試みが成功することは、極めて稀だ。試みが「水泡に帰す」最大の原因は、かわそうとする行為そのものが、記者にとっては「さらなる追及の材料となってしまう」ためである。
こうした「かわしたい」ときの謝罪会見で、必ずといっていいほど出てくる「定型句」がある。それが「このたびは世間をお騒がせすることとなり、大変申し訳ございませんでした」という台詞だ。
注目したいのは、この台詞のなかで、謝罪しているのは、被害者に対してではなく、あくまで「世間を騒がせたこと」に対してのみだということ。自らの責任を認め、危機の状況やその後の対応について説明をしているわけではない。
「何らかの形で謝らざるを得ないが、かといって騒動の原因に関しては、自分の非を認めたくはない」という思いがひしひしと伝わってくるようだ。
素直な謝罪でダメージ減
だが、こんな「定型句」でかわせるほど、記者会見は甘くない。このような謝罪をすると、記者は必ず「騒がせることになった、そもそもの問題については、謝罪する気はないのか」と追及をしてくるだろう。こうなると、たいていの経営者はしどろもどろになってしまい、歯切れの悪い弁明に対し、記者からはさらなる追及が飛ぶことになる。まさに「言い訳の泥沼」に、はまってしまうのだ。
つまり、「上手にかわそうとするよりも、非があるなら最初から潔く認め、素直に詫びておいたほうが、結果的にダメージは少なくなる」ということなのだ。
上記のような謝罪会見ほど極端なケースでなくても、自社にとって「ありがたくない結果」について対外発表...