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地域メディアの現場から

夢を追う人々に密着 綿密な取材で物語を描く

ABCテレビ(朝日放送テレビ)『LIFE~夢のカタチ~』

ローカルで人気のテレビ番組や地元情報をきめ細かく伝える新聞・雑誌の編集方針や人気の秘密、つくり手の考え方を紹介します。

    ABCテレビ(朝日放送テレビ)『LIFE~夢のカタチ~』
    放送日 毎週土曜11時~11時30分
    放送開始 2010年4月
    放送エリア 近畿広域圏
    制作体制 プロデューサー2人、構成5人、リサーチャー3人、ディレクター9人
    出演者 佐々木蔵之介(ナレーション)

    反響の大きかった放送回

    オシャレな鉄雑貨が話題!鉄工所を継いだ二代目夫婦の“夢のカタチ”!(2022年1月29日)
    尼崎の鉄工所から誕生した、鉄の端材から生み出すアウトドアグッズが人気の鉄雑貨ブランド。その鉄工所を継いだ2代目夫婦の奮闘を伝えた。

    日本で暮らすアジア人のお母さんたちを料理の力で笑顔にする女性オーナーの“夢のカタチ”!(2022年3月5日)
    神戸・元町にある、様々な問題を抱えて生きづらさを感じているアジア人の女性を笑顔にするべくオープンした食堂に密着した。

    コロナ禍を乗り越え、旅館を未来につなぐ!老舗旅館の若き女将の“夢のカタチ”!(2022年1月15日)
    コロナ禍で観光客が激減し、旅館の危機に直面していた京都の老舗旅館。様々なアイデアで立ち向かってきた女将の新たな挑戦に迫った。

ナレーションを俳優・佐々木蔵之介が務める『LIFE~夢のカタチ~』(ABCテレビ)。主に関西地方を中心に、情熱を持って夢を追い続ける人に密着し、人生の物語を描くドキュメンタリー番組だ。主な視聴層は30~50代の男女。

100人100通りの人生を描く

番組で取り上げる人物は、地元で人気グルメ店を切り盛りするオーナーから、染色工房やガラス細工の職人・作家、アスリート、農家、旅館の女将まで幅広いジャンルにわたる。プロデューサーの木本赤沙氏は、「すでにその世界で有名になっている方だけでなく、注目され始めたばかりで今後世界を牽引していく可能性がある方も積極的に選んでいます。共感や応援したい気持ちを喚起させることで、視聴者自身が人生の岐路に立ったときのパワーにつながるような番組を目指しています」と語る。

また、フードロスやSDGsといった社会的課題の解決に貢献している人物にも積極的に取材。例えば、2022年3月5日放送回では、日本の生活に溶け込めずにいたアジア人の女性を救うために、食堂を立ち上げた女性オーナーに密着した。

同じくプロデューサーを務める板井昭浩氏は「国際結婚などをきっかけに日本にやってきたアジア人女性たちは、言葉の壁から孤独を感じて悩みを抱えている人が多かった。オーナーは、そんな彼女たちの雇用を生むことを目的に食堂を始められた人でした。お金儲けのためではなく、誰かのために情熱を傾けている人の熱意は視聴者にも伝わったと思います」と語る。

番組は、取材対象者がその取り組みを始めた背景や現在の活動、挫折や葛藤などを丁寧に描き、最後は未来への想いを「夢のツヅキ」として語ってもらう。しかし「100人いたら100通りの人生があるので、決まった構成というのはありません」と語る木本氏。

「飲食店への密着であれば、もちろん美味しそうな映像も狙います。ドキュメンタリー番組として人間ドラマを描くだけでなく情報も入れ込むことで、土曜日の朝にテレビをつけたときに『食べてみたいな』『この商品気になる』と感じていただき、視聴者の知的好奇心を満たす狙いもあります」(木本氏)。放送後には、店舗に行列ができたり注文が殺到したりすることも。番組で紹介した店舗に必ず足を運ぶというファンもいるという。

2022年3月5日の放送回では、生きづらさを抱えたアジア人女性のために食堂をオープンしたオーナーを取り上げた。

2カ月以上にわたる徹底取材

取り上げる人物は、リサーチャーやディレクターからの案を元に毎週の会議で決定。ネタ探しは、百貨店の催事場で見かけた商品の作家が気になってリサーチするケースもあれば、サッカーの試合観戦に行ったときに出会ったキッチンカーで働いていた店主に声を掛けたこともある。ネットの情報だけに頼ることはなく、まさに日々の生活でアンテナを張り巡らして足で稼ぐスタイルだ。

取材にかかる時間は平均2カ月で、長いものでは半年~1年にわたる場合もある。その中で取材や撮影、打ち合わせを10回以上重ねる。「密な数カ月を過ごすので、ディレクターの取材意欲が非常に重要です。決してこちら側から『この人を取材してこい』と指示をすることはありません。ディレクター自身が『この人を追いかけたい』という意欲があるからこそ、取材対象者が信頼して心を開いてくれて良いシーンを撮ることができます」(板井氏)。

インタビューシーンの撮影場所にもディレクターのこだわりが反映されている。1カ所でまとめて撮るのではなく、「料理についての質問は狭くても厨房の中で」「プライベートのことは家族がいる自宅で」と場所を変えることで、臨場感や親近感が生まれる。

「家族と一緒に過ごすほっこりしたシーンからは、その人の人柄がうかがえます。ごくまれにプライベートの取材はNGという方がいて、その場合は別の演出方法を考えますが、人間性を深く描き出すためにも必要なシーンだと考えています」(板井氏)。

コロナ禍で挑戦を続ける

番組では、コロナ禍という未曾有の危機を乗り越えるべく、挑戦を続ける人物も多く取り上げてきた。2022年1月15日放送回では、京都の老舗旅館の若女将を取り上げた。観光客が激減し売上も大きく落ち込む中、休校中の子どもを預かり大広間で自習やオンライン学習をしてもらう「旅館で寺子屋」や、京都の旅館の女将や社長たちで結成したプロジェクトで子ども向けのワ-クショップを企画する様子を伝えた。

「コロナ禍を“準備期間”として前向きに捉えてコンセプトを立て直し、次なる展開に動き出そうとしている方々が多くいました。『今は何が求められているのか』を冷静に分析し、ピンチをチャンスにできるポジティブさと判断力、そして行動力を持っている方が成功を収めているように感じました」(木本氏)。

今後注力したいテーマについて、「伝統あるものについて、『このままでは衰退していってしまう』という危機感を持った人が多くいます。新しいものを取り入れつつどのように生き残っていくのか、強い意志を持って挑戦している人を取材していきたいです」と板井氏。木本氏は「今はまさに時代の過度期。生活スタイルが変わり、社会問題を解決していくために続々と生まれる新たな職業も、いち早く取り上げていきたいです」と語った。

2022年1月15日に放送した京都の老舗旅館への密着では、若き女将のコロナ禍を乗り越えるための数々の奮闘に迫った。

広報担当者へメッセージ

人生の歩み、描いている未来を

情報番組ではないため、単なる店舗の宣伝ではなく、オーナーの方などが歩まれた人生や試行錯誤、どういう未来を描いているかが知りたいです。人間味がうまく盛り込まれたメッセージをいただいた際は、興味深く拝見しています(木本氏)。

    ABCテレビ
    コンテンツ制作局
    『LIFE~夢のカタチ~』
    プロデューサー
    板井昭浩(いたい・あきひろ)氏

    1984年入社。初期配属はラジオ制作部。テレビ制作部に異動後、編成部、イベント事業部などを歴任。映画出資事業にも携わる。趣味は映画鑑賞と読書。

    double W
    代表取締役社長・
    プロデューサー・
    ディレクター
    木本赤沙(きもと・しゃくさ)氏

    2001年エー・ビー・シー リブラ(朝日放送グループ)入社。旅番組、バラエティーなどの番組を制作。出産後、独立して会社を設立。プロデューサー、ディレクター、タレントマネージメント業務を行う。2児の母。

    Q&A

  • 印象に残っている仕事は?
    ラジオ番組担当が長いのですが、あらゆる社会問題を切る『誠のサイキック青年団』という過激なラジオ番組をつくり、上からよく怒られたのは印象深いです(板井氏)。
    AD時代、ニュージーランドで最も高い134mのバンジージャンプを飛んだことです。高いところが苦手ですが、タレントさんが飛べなかった代わりに飛ぶことになり、腕にガムテープで当時の重たいカメラをグルグル巻きにして飛びました(木本氏)。

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