本稿では、ラジオ媒体と大学広報の親和性や可能性について、2編に分けて考察しています。前号は、ラジオには各種データの数値だけでは測れない、「心に響く力」や「寄り添う力」といった他媒体とはひと味違う特性や魅力があり、「生声」や「音楽」によってその思いが直球で伝わる点がユニークポイントであるとお伝えしました。
加えて、実践例として大阪公立大学がFM802(以下、802)の人気番組「ROCK KIDS 802(以下、RK802)」とコラボレーションした企画の概要や、そのコンセプトを「生声と音楽で受験生・中高生を応援する」としたことを紹介しました。今号では、この企画の反響を読み解き、ラジオによるコミュニケーションの魅力や強み、そして中高生に感じてもらえたであろうことを掘り下げたいと思います。
「まっすぐな応援」の反響
この企画では番組ゆかりのアーティストが週替わりで登場し、受験生への応援メッセージと「このオンエアだけで聴ける、弾き語りによる特別な1曲」をリスナーに届けました(表1)。
アーティストの生声による応援メッセージと、ここでしか聴けない音楽。シンプルですがそれゆえに強い、頑張る中高生に温かなエールを送る20分間です。どのアーティストも自身の経験に基づく受験や試験に臨むアドバイスや、その前後の心の持ちようなどを優しく語りかけ、続いて「弾き語り」によってより力強く、まっすぐに届く応援ソングを贈りました。放送を耳にして、多くの中高生が前向きな気持ちになってくれたと思います。
その反響は当初想定していたものよりも大きく、毎週40件を超える熱いメッセージが802に寄せられ、時にはそれが100件を超えた放送回もありました。
例えば、「共通テストの結果が振るわず落ち込んでいたところ、アーティストの応援メッセージが優しすぎず、かといって厳しすぎず、転んだ後の立ち上がり方を教えてくれるような強さを感じ励みになった。感謝している」といったメッセージや、「このような企画を提供している大阪公立大学を子どもに勧めたくなった」というスポンサーに対する直接的な反応もありました。何らかの媒体で大学名を認知させるための広告を打つだけでは、ここまでの印象変容は得られないと思います。
SNSとラジオの親和性で拡散
また、上記のラジオ放送⇔聴取者のような直線的かつ双方向の反応だけではなく、ラジオと音楽によるコミュニケーションは...