報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
文藝春秋『CREA』DATA | |
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2023年に創立100周年を迎える文藝春秋。『CREA』は「美しき野次馬たちへ」というキャッチコピーで、同社が1989年に創刊した女性誌だ。美容やファッション、旅、グルメ、カルチャーなどの情報収集にアクティブで知的好奇心の旺盛な女性をターゲットに、毎号ワンテーマで届けている。主な読者層は30~40代の女性だ。
女性が生きる上で軸になる
『CREA』が創刊した1980年代後半は、男女雇用機会均等法が成立・施行された時期でもある。新しい女性たちの時代の幕開けとともに創刊された雑誌なのだ。1990年~2000年代の日本の女性誌は、誰からも好かれる(=モテる)女性像を目指すものが多かったが、『CREA』は創刊時から“モテ”とは一線を画し、自らの価値観で生きる自立した女性像を掲げてきた。
2022年7月から『CREA』編集長に就任した井﨑彩氏は「近年、各女性誌からは“モテ”という言葉が消えつつあり、女性に対するモノ・サービスの売り方や発信の仕方も変化しているように思います。『CREA』創刊号には日本初のセクシャルハラスメント裁判の記事が載っていて、まさに今の女性たちが向き合っているテーマに30年以上も前に取り組んでいたのです。時代ごとに扱う内容は変わっても、女性が生きていく上で軸になる情報を届ける、という芯の部分は変わっていないと感じています」と語る。
掲載する旅やグルメなどの情報は、「今の女性たちに食べてほしい・泊まってほしい」ものを選りすぐって掲載。そのリサーチ力やセレクトセンスの確かさは読者から高い支持を得ている。
編集会議では、編集部員らが持ち寄った企画の選定の前にまず、「『CREA』が世の中の空気をどう見るか」を徹底的に議論し、特集にどのように反映させていくかを話し合うという。
2022年秋号の「夜ふかしマンガ大賞」も、時代と向き合い『CREA』らしい切り口で届けた特集の一例だ。マンガをスマホやタブレットで読む人が多数派になる中、最新話が更新される深夜0時前後が作品購入のピークを迎えることが分かった。30~40代の女性たちも、日中の忙しさを忘れて寝る前にマンガを読む習慣を持っている人が多いことから「夜ふかし」という切り口にした。
「『その年の面白かったマンガを投票して選ぶ』だけでは『CREA』がやる意味がないと思いました。今の時代の女性のライフスタイルや、大切にしていることにフィットしたものを選んで...