日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

大学広報ゼミナール

生声と音楽の受験生へのエールに「共感」のヒント

皆藤昌利(大阪公立大学)

高校受験を控える我が家の中3生は毎夜、ラジオをお供に机にかじりつき、勉強に励んでいます。我々親世代にも懐かしい、ラジオと勉強と夜の時間。大阪のFM局「FM802(以下、802)」の某番組では、こういった聴取状況をstudy listener中、略して「スタリス中」と呼ぶようです。

総務省によると、10代のラジオ利用時間は1日あたり2.3分(平日1日あたり平均利用時間/2020年)。ここ数年の経緯で見ると横ばいであり、下がりまではしないものの、対照的に増加を続けるネット利用時間は10代で224.2分(上記同)と、ネットやテレビに比べてラジオとの接触頻度は少ないものです。

*出典:総務省情報通信政策研究所「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

しかし、大学と中高生を結ぶコミュニケーションにおいて、ラジオには数字だけでは測れないチカラと可能性があると筆者は感じています。言葉にするなら「生声」と「音楽」がもたらす、「心に響く力」や「寄り添う力」といったところでしょうか。本稿では2編に渡って、ラジオという媒体が及ぼす大学広報への可能性について考察します。

人気ラジオとのコラボ

大阪公立大学では2020~21年度、802の人気番組「ROCK KIDS 802(以下、RK802)」とコラボレーションし、中高生(既卒受験生含む)に向けたコミュニケーションを図りました。20年度は1カ月間(計4週)、21年度は2カ月間(計9週)、番組内で週1回20分間のコーナー提供を実施。この企画により、大学からは生の声や心情を知りづらい中高生からの反響が一定数あり、開学直前であった大阪公立大学の「認知度」の向上とともに、「共感・好感」を得ることができたと考えています。

①局と番組の特性、②コーナー構成と実施時期、③強み(生声とSNS)の3点から、企画のアウトラインとポイントをまとめます。

2021年度RK802コラボ企画(企画制作:オズマピーアール)の告知ビジュアル。

①局と番組の特性

802は、在阪FMラジオ局(6局)内での10代聴取率シェアが61%(月曜~日曜/6~24時平均/2020年 ビデオリサーチ社調べ)と、関西における若い世代の聴取率や認知度・接点が圧倒的に高いFM局です。中でもRK802は小中高・大学生から抜群の支持を誇る、開局以来の人気番組。

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

大学広報ゼミナール の記事一覧

生声と音楽の受験生へのエールに「共感」のヒント(この記事です)
情報だけではなく『想い』を学生と連携する意義とは
受験生と大学とをつなぐ在校生 広報のカギは「親しみやすさ」
学生と並走する広報活動 自分ごと化にドライブ
情報のバランスは1:1 厚みと活気を意識した発信
広報は発信して「なんぼ」 備えるべき手段とは?

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する